三拍子ロック
ふぃふてぃ
第1話 プロローグ〜殻の中の明るい未来〜
2000紀の終わり、3000紀を目の前にして、
我々の人類は大きく飛躍した現状を確認する。
戦争のない社会の実現に始まり
代替エネルギーによるCO2の大幅削減
完全な偽りなき核廃棄
もう、人類は少ない資源を奪い合い、きのこ雲の恐怖に怯える悪夢から目を覚ました。
その他、上げればキリがないくらいの明るい話題が今日もネットニュースを彩る。
特に医療の発展は目ざましく。再生医療やAIを活用したロボット手術などの計り知れない功績は、平均寿命を予想より遥かに長くした。
ユヴァル・ノア・ハラリの描いた『ホモデウス』の世界が直ぐそこまで迫っていた。
神の領域、新天地へと人間の進化は更なる発展を遂げる。
期待はおのずと高まるハズだった。
それでも、私は耳にする。
我々の未来は暗いと
ハンバーガーの食べ過ぎで死ぬことはあっても、
飢饉で飢え死ぬ者はいない。
物流の流れは完全にAIが管理をして、本当に必要な所には間違いなく流れ着く。完璧なまでのセーフティネットの確立。
2000紀の初頭に流行した疫病も、撲滅には至って無いものの、ワクチンと抗生物質でコントロール下にある。
ネットワークの発展により、AIによる体調管理と家にいながらの診断、充実したロボット手術による24時間365日の緊急手術の対応、介護ロボットによる完全個室による入院加療が可能となった。
それでも私は耳にする。
我々の未来は暗いと
最大多数の最大幸福。
哲学者ベンサムが望んだ世界が、千年の時を経て実現を強固なものへと進化を遂げている。
AIの政治的利用は私利私欲を餌とする悪魔の囁きに屈しない。マザーの一括統合と防犯で固められた社会は善の行いのみを良しとする。悪は否応なく弾く。徹底的に弾かれる。
それでも、私は耳にする。
我々の未来は暗いのだと。
守られるだけの世界を平和と呼ぶか
強制のない世界を自由と呼ぶか
完成しきった世界を繁栄と呼ぶか
答えなき世界の答えを私は貴方に委ねよう
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