第14話 森暮らし2

 5年くらい周辺調査をして、ここら辺の森はマッピング済だ。

 亜熱帯地域なせいか、南国系のフルーツや野菜をたくさん見つけられた。

 瞑想についてだけど、今の状況を知りたいためか、意識的に長期間やらずにいられている。村長には、ずっと今何年か聞き忘れている。いつも聞こうと思いつつ忘れるんだよね。


 ようやっと、村人とのかかわりもボチボチ柔らかくなってきた。そのおかげで、採取物と物々交換できるようになった。最初に交換したのは金属製のナイフだ。石のナイフは切れぬぇんだよ。切り口もギザギザだし、たまに欠けた石が混じるとか、最悪だろう。文明の利器に感謝を!


 それまでの装備品を書いてやろう。

 防具

 頭:無し

 体:虫糸の作務威

 足:草のサンダル

 手:無し


 武器

 石のナイフ、杉の枝


 最初の村を出られるか怪しいレベルの装備。


 交換後

 防具

 頭:藁の帽子

 体:虫糸の作務衣

 足:皮の靴

 手:綿糸の軍手


 武器

 金属ナイフ、ヒノキの棒(2m)、金属の手斧


 かなり強化されたかな。これで虫刺され対策がマシになる。

 皮の靴なんだが、森の端っこをブラブラしてたら、血だらけで死んでるあの狼を見つけたんだ。せっかくだから持ち帰って、体を使わせて貰ったわけですな。5年経つけど、まだ一度も殺してない。出来ないというより、必要無いが当たってるかな?


 今一番欲しいのは、スコップとツルハシ! 山を目指す時が来た。

 無いか相談したんだけど、買い出ししないと無いと言っていた。せっかくだから、村長に外に行ってみようか話してみる。

「あっ! 森の外は別の言語だった。まだ教えてなかったね。ごめんごめん」と言われてしまったので、買い出しは任せて勉強しておくか。


 数日後、買い出し担当のタヌキ人が拠点にやってきた。森のハチミツが高くで売れるらしいんだが、村で消費されて売りに行けないらしい。俺もそれなりに渡していると思ったんだが、全部消えてるとか。特にベアさん一家にバレないように、出発直前に欲しいと言われた。

 代わりに、粗悪な鉄で無く、鋼鉄製のを探してくれることになった。今度はタヌキさんとズブズブな関係ですな。ぐへへへ。


 タルポさん(タヌキ)出発の時にハチミツを渡して、2ヶ月程で帰ってきた。スコップは鋼鉄製だったが、ツルハシは魔物素材だとか。性能は良さそうなので、納得の一品だ。



 今回目指す山は、書いた地図で言うと上の方だ。たまに来る土精が、いつもそっちを指差すからしょうがなく。

 現地に着いてみると、予想以上に温度差がある。山頂から冷たい風が降りてくるようだ。ここの植物も調べたいところだけれど、土精が案内するから行くしか無い。

 案内されたところには、人が立って入れる程度の洞穴がある。一応松明持ってきてよかった。中に入ってみる段々降りていくようで、かなり冷えてくる。10分程潜った先に、直径15m程の円形広場があって、見慣れた巾着があった。

「おぉぉぉぉ! お待たせ、俺の成果たちよ!」

 どれどれ中身を確認しよう。

 んー。軽くね?



 空っぽ?

 いや。端っこに何か引っかかってるな。

 これは……ニンニク! 臭い少なめ系のMk−3、アレルギー対策用のだな。

 もう3粒程ある。残りはトウモロコシか。

「モロコシに歯形ついてるじゃねーか! クソが!」

 でも生命力はある。フリントコーンちゃん頑張ってくれ。トルティーヤが待っている!


 見つけて良かったけど、ここは寒いから一度離れよう。採掘も軽めにやって早く帰ろうかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る