第8話 閑話 ある国家公務員の話
私の名前は
上司に言われて、ある山の調査を始めた。それがきっかけで高橋氏と繋がりを持つことが出来た。
高橋氏と初めて会った時は、冴えない顔だと思ったが、存在感は異様に大きく感じていた。
ちなみに高橋氏には当初から官僚と言われていたが、まだまだ下っ端だった。隣にお偉いさんがいたから勘違いしたのだろう。その時、陸将とも知己を得たことで、新しい課の出世コースに乗って万々歳。
山守り管理課は少人数で始めたが、農林系の部から最低一人ずつ配属さるようになり、今ではそれなりの規模になっている。
山守りの仕事は多い。山林の最低限の間伐、害獣調査、生物調査。他にも遭難救助や近隣住民との情報共有がある。それに加えて、小屋作りも行っていた高橋氏は超人の成せる体力だろう。
高橋氏と仕事して1年もすると、本当に天狗じゃないかと思い始めてきた。なんでこの人は1ヶ月飯も水も取らずに瞑想出来るのか。寝ずに山中を見回ったり、私を担ぎながら追いかけてきた熊から逃げ切るなど……。この人基準にしたら、誰も山守りできないぞ。
なので、山守りは数名体制を提唱している。新しい課長には、代わりのいない高橋氏には、最大限の希望の考慮と昇給を伝えた。
ここ最近は全国を飛び回り、なかなか疲れが取れない。うちの課はそれなりに人数いるはずなのに、他の課との合同調査やら報告やらが多くて、体がいくつあっても足りないのだ。私はまだ良い方かもしれない。統計の奴は、高橋氏の新しい調査報告の書類を見るたびに発狂している。なぜか高橋氏の文字はスキャニング出来ないんだ。外部に回せない情報も多くて、我が課だけで読み込むことになる。最近の奴の口癖は「もじもじもじもじもじ……。」人員増加を望む。
久しぶりに高橋氏に会った。しばらく中国へ行くという話だ。前々から聞いていたので、それに合わせて私も長期休暇を申し出ている。そろそろダウンしそうだったので、本当に助かる。
ついでに高橋氏の親戚の子が山守りを目指しているというので、我が部署に来ないかと声かけしておいた。ここ数年で高橋氏の機密情報がかなり増えたので、親類の確保は前々から言われていたのだ。
帰り際に渡された塗り薬だが、塗ってから自宅に帰ると、妻にしつこく詰め寄られて半分渡してしまった。最初は訝しんでいたが、数日後には「肌の調子が良い」と上機嫌になり、もっと寄越せとねだってくる。作った人は海外に行っているので、国の機密でもう手に入らないと言って、諦めてもらった。
最近、夫婦共に見た目が若返ったせいか、仲が良い。子供も生まれて、昇進もした。高橋氏に貰った薬のお陰だろうか?ははっ、まさかな。ただ縁起物でもあるから、あの小さなケースは大事にとってある。彼が日本に帰ってきたら、盛大に祝おう。そして子供を抱いてもらおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます