品性を疑う 【錬金術師さん。勇者パーティを追放されて理性が蒸発する】

足将軍

第1話、勇者パーティを追放される……

 時刻は夜。場所は宿屋である。


「デューク、お前は出ていけ」


 褐色に金髪の細身男――――勇者エルバルドが告げた。


 白銀の軽鎧を纏うエルバルドはその戦闘スタイルの都合上、脇腹部分が露出している。


「……すまない、それはどういう意味だ。エルバルドよ」


 告げられた男――――錬金術師デュークは戸惑いながらも情報を整理し始める。


「デュークさん……これはあなたのためでもあるのですよ」

「ハッキリいいなさいよねデカパイ。

 いい? バルド様のパーティにアンタは必要ないの」


 清楚っぽい女――――聖女ルキア。

 ツンデレ女――――魔剣士ディアル。

 二人はデュークへ軽蔑するような視線を送る。


「お前は勇者パーティでやっていくにはカスすぎるっつってんだよ」


 エルバルドはそう建前・・を言い、二人を手で引き寄せる。


「あっ♡」

「ちょっと……こんなところで」


 二人は頬を赤らめる。エルバルドは魔剣士ツンデレ女ディアル(長いのでマツオ)の首へキスをする。


「……ふむ」

「そういうことなんだわww ――――お前はもういらねえよ。いっつも邪魔だったんだよ。それに後方支援ってカスの仕事じゃん?ww」


 エルバルドはデュークへ軽蔑の視線を送る。エルバルドの脇下は無毛だった。


 エルバルドは力に任せて机を破壊する。それで脅しをかけているのだろう。


 エルバルドの指は男とは思えないほど綺麗だった。


「……助けて、と言われても知らんからな」

「へーへー負け惜しみご苦労さんww」


 デュークは宿屋を後にした。


◆◇◆ 数日後。

 俺は錬金術師デューク。【創造】と呼ばれる固有能力を所有した国家錬金術師、その筆頭だ。


「帰れ! 貴様は国家錬金術師の資格は剥奪されている!!」

「は……?」


 ……否。元国家錬金術師になっていたらしい。勇者らが何かの嫌がらせを行ったのだろう。


 改めて自己紹介をしよう。俺の名は錬金術師デューク。貴族の婚約者を持ったイケイケの錬金術。


「婚約は白紙になりました。ええ、もう貴方とは縁がないので消えてもらってよいですか?」

「おういえ!」


 婚約がなくなりました。不思議だ、人って肩書だけでここまで変わるものなんだね。


 改めて自己紹介しよう。錬金術師デューク、無職です!!

 あはは!! ブラック企業から追放された社会のゴミだよ!! よろしくね!!


「残業残業えらはっは!!」


 どうしよう!! 僕これからどうしよ!! あはは!! ブラック企業からおさらばバイバイ菌!!

 おし。よし、よーし!! おじさん、長年の夢を実現させちゃうぞ!!


「僕にはああああああああ!! 夢がありまああああああああすううう!! あひゃひゃひゃ!!」


 遠くの山へと大叫び!! 僕、ぼくえらい!! えらしゅぎいいい!!

 本当なら全裸でションベンしながら宣言してるところを服着て宣言してりゅ! あへえええぇぇぇ!!


「ぼく、はぁ!! ぼくはぁ!! ――――短パンニーソの王になる!!!」

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