異影・いえい

こびりついた姿が背後にある

影に似ていて

月と同じような光をしている

理由など知る由もない

いつか文字が独り歩きして

そこにいるようになったのだ


しかしながら陰よ

私は君ではないのだろう?

もう必要ないと言っているのに

しつこいもんだなぁ

男の口からため息が漏れた


君なんぞ知らん

誰なんでしょう

君を描いたのは誰だ

造ったのは何時のことですか


僕の筆がそこにあるだろう

あれが

あれこそが

君の家だ

戻ったほうがいいよ


そう言えば俺は誰だったかな


あぁ

白水か

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