space débris(1話 輝く右手)

kara

第1話 輝く右手 (架空の小説の一文からお話をつくる)

「ごらん、金剛石が降っている」

 アカリはそう言ってそっと手をのばした。

「なら、また作れるね」

 僕はにっこりと彼に笑いかける。

 ここでは雨の代わりに時々宝石が降ってくるのだ。そんなものが空から落ちてきたらケガをするんじゃないかと思うが、なぜか重力に反してゆっくりと降りてくる。

 種類は全て同じだったり、ルビィやサファイヤ、虎目石、エメラルドなどバラバラだったり、日によってまちまちだ。僕とアカリはそれを拾い集めて、分類する仕事をしていた。

 同じ種類のものを集めて形を整えると、それは意思を持って言葉を話し 歩きだす。


 そうやって、僕たちは仲間を時々ふやしていた。

 もちろん、普通のヒトもいる。でも、見た目ではほとんど違いがない。相違点と言えば寿命と壊れたら石人セキビトはくっつければ元に戻るけど、ヒトは戻れない……という事くらいだろうか。


 どちらも、食べ物を摂らなくても日の光があれば事は足りた。

 だんだんとヒトの数が少なくはなっていたけれど、みんなそれほど気にしていなかった。ヒトと石人セキビトのカップルでも石で子供を作り、それを自分たちに似せる事ができたから。


 めだった争いもなく、僕らは穏やかに暮らしていた。

 ……奴らが僕らの事を聞きつけ、この国を襲ってくるまでは。


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