幼馴染みとのイチャつき方~対面座位の体勢でイチャつけば自然と好きなように出来ます~

しゆの

第1話

「対面座位の体勢でイチャイチャしよう」


 高橋大揮たかはしだいきは幼馴染みである同じ年の少女──金石美月姫かねいしみつきにそう告げた。

 幼稚園の時からの知り合いで家が隣同士のため、どちらかの部屋で毎日のように一緒に過ごす仲だ。

 だけど大揮は高校二年生の思春期真っ只中の男子……いくら幼馴染みの関係だからって美少女である美月姫と一緒の部屋にいるのは理性がゴリゴリと削られていく。

 しかも甘い匂いがする美月姫の部屋で、しかも背中をくっつけながらお互いに漫画を読んでいるため、理性がもたなくても仕方ない。

 むしろ今まで手を出さなかったことに自画自賛したいくらいだ。

 そしてこれからはもっと本能を出してみたくなった。


 月の光に匹敵するほどに眩い腰ほどまで伸びた金髪は艶があって綺麗だし、宝石みたいな美しい碧眼、透けるような白い肌、腰回りや足などは細い体躯なのに胸は平均以上にあり、名前の通り月にいる美しい姫……かぐや姫のようで、美月姫はまるでいくつもの奇跡が重なって産まれてきたんじゃないかと思うほどの黄金比により、彼女は成り立っている。

 美少女である美月姫に永遠に手を出すなというのは到底無理な話だ。


 人類の知能の全てを注ぎ込んで遺伝子操作されて産まれてきたんじゃないか、と思うくらい美しい容姿をしている美月姫は、学校の男子から絶大な人気を誇り、既に数え切れないくらいに告白されたほどらしい。

 全ての告白を断っているようなので安心はしているものの、そろそろ色々と我慢出来なくなってきた。

 だから対面座位の体勢でイチャイチャしよう、と提案したのだが、座っていた美月姫はこちらに回りこんで驚いたような表情で見つめてくる。


「うん。間違いなく大くんですね」


 大揮のことを大くん、と愛称で呼ぶ美月姫は、一緒にいる幼馴染みのことを見てホッと安心したかのように胸を撫で下ろす。

 今までイチャイチャしようと言ったことがなかったため、一瞬だけ偽物じゃないかと思ったのかもしれない。


「美月姫の愛しい愛しい俺だと分かったとこで、対面座位でイチャつこう」


 読んでいた漫画を床に起き、美月姫の肩に手を置いて再び同じことを言う。


「な、何で愛しいことになっているんですか? それに、対面座位なんて……」


 ──恥ずかしい。


 頬を赤くして俯いていることから、そんなことを思っていそうだ。

 幼稚園……つまりは物心がハッキリとついた時から一緒にいる兄妹のような関係だが、間違いなく美月姫は大揮のことを意識しているだろう。

 そうでなければ数多くの男子からの告白を全て断るわけがないし、もし、他に好きな人がいたとしたら、大揮を自分の部屋に呼ぶわけがない。

 愛しいを否定したのは恥ずかしさからだろう。


「違うのか。残念だな」


 わざとらしくシュンと落ち込むフリをする。

 美月姫の好意は分かりきっているので演技で充分だ。


「あわわ……大くんが言ったことは違わなくて……」


 頬を真っ赤に染めて慌てる美月姫はとても可愛く、思わず抱き締めたくなる。


「それにしても対面座位の意味は知っているんだな」


 もう少し純粋かと思ったが、年頃だし知っていてもおかしくはない。

 意味を知っていることを知られたためか、美月姫はカアアァァ、と髪の隙間から見える耳まで真っ赤にした。


「意味を知っていようが知らなくてもどうでもいいことだな。さて対面座位でイチャイチャしよう」

「私の着ている服を見て言ってますよね? こんな格好でしたら見えちゃうじゃないですか」


 座っている男性の太ももに女性が股がるようにして上に乗るのが対面座位なので、丈が短いワンピースを着ていれば中身が見える可能性はある。

 ゴールデンウィークで気温が上がっているからというのと、元々スカートの方が好きらしく、美月姫はワンピースタイプの部屋着が多い。


「膝を立てて座っているのに今さら何を言うか。本棚から漫画を取る時にチラチラ見たりするぞ。白やピンクなど淡い色が多いな」

「な、何で見てるんですか? 見えてるなら言ってくださいよ」

「男の本能だから仕方ない」


 普段見えないとこを見たくなるのは本能であり、しかも美少女である美月姫のスカートの中は俄然見たくなるのだ。

 外では気を使って見えないようにしているみたいだが、家では気が抜けてしまっているらしく、結構見えたりする。


「まあでも、次からは言うようにする。堂々と見たいから」


 もう見ていることを言ったのだし、これからはチラチラと見なくてもいい。

 今も膝を立てて座っているから中が見えるのだが、視線に気づいた美月姫は手でワンピースの裾を抑えて隠す。


「言ったからって見てもいいわけではありませんよ。でも、大くん以外の人に見られてたら記憶をなくしてもらいますね」


 ゾッとするような冷たい言葉を発した美月姫に、大揮は少しの恐怖を覚えると共に、好意を寄せられていて心底良かったなと思った。

 今の美月姫には恐怖に覚えてしまうほどに本気を感じたからだ。


「俺以外に見られるの絶対に嫌ってことは美月姫の想いがハッキリとしたな」

「あ……」


 無意識の内に言ってしまったらしく、美月姫は再び頬を真っ赤にさせる。


「じゃあ対面座位でイチャイチャしよう」

「わ、分かりましたよ。小さい頃からずっと大好きな大くんと、くっつけるのは嬉しい、ですからね」


 上目遣いで恥ずかしそうに告白してくる美月姫はあり得ないほど可愛く、胸キュンしまくりだ。

 告白したのは好きという気持ちがバレてしまったからだろう。


「じゃあイチャイチャしようか」

「は、はい」


 美月姫の肩を抱いてベッドまで移動した。

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