第156話 喫茶店。
{キャンペーンシナリオをクリアしました}
そう、頭の中で聞こえた瞬間、俺は意識を手放した。
次の瞬間、俺は目を開けるとそこは喫茶店だった、いつの間にか椅子に座っていて、眠っていたのかもしれない。
周りを見渡す、テーブルに椅子、カウンターの奥にはコーヒーメーカーの様な物、周りのお客さん達はみなコーヒーを飲んでいた。間違いなくここは日本の喫茶店だ、いつの間にここへ来たんだ?
「あの~、お客様、ご注文は?」
声を掛けられ、そちらを向くと、エプロンを着たウエイトレスが居た。水を俺のテーブルに置き、おしぼりを添えて。
「あ、え~と、ここは喫茶店でしょうか?」
「はい、そうですが・・・」
うーん、なんだろう、色々と何か忘れているような気がしないでもない、まあ、いいや。思い出せないや。・・・眠っていたのかな?
「あの~、・・・」
「あ、すいません、じゃあコーヒーを下さい」
「モーニングはお付けいたしますか?」
「あ、はい、モーニングも・・・」
「わかりました、少々お待ちください」
ウエイトレスはカウンター奥の厨房へと向かった。
それにしても、一体なんだろうか、何か忘れているような・・・・・・だめだ、思い出せない。
コーヒーは直ぐに運ばれてきた、俺の座る席にコーヒーが置かれる。
その時、他のお客さんの一人から声が聞こえた。
「いやだ、私ったら朝まで喫茶店に居たなんて、こんなの学生の時以来だわ、・・・すみませーん、私は注文いいです、このまま帰ります」
よく見ると、そのお客さんは俺と同い歳ぐらいに見えた女性だった、スーツを着ているってことは会社帰りかな。
その女性は慌てた様子も無く、静かに店を後にしていった。
俺はゆっくりとコーヒーに口を付け、啜る。
「うまい・・・」
コーヒーの苦味がまたいい、俺はコーヒーはブラックで飲む、甘いコーヒーは苦手だ。
「お待たせしました、モーニングになります」
「これは、どうも」
モーニングセットはバタートーストとゆで卵だ、モーニングはサービスなのだ。
俺はコーヒーを一口啜る、うむ、うまい。また来たくなる味だな。
「ごゆっくり」
ウエイトレスが俺の元を去ろうとした時、ふと、尋ねてみた。
「すいません、このお店って名前は何て言うんですか?」
「・・・この喫茶店の名前ですか?・・・喫茶ルビーです」
喫茶ルビー・・・・・・不思議と聞き覚えがあるような名前だった。
コーヒーをもう一口啜る、コーヒーの味は何故だかほろ苦かった。
まるで、昔の恋人にでも出会った時のような、・・・・・・そんなほろ苦さのするコーヒーだった。
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