第113話 消えたシスター 4
俺達は晩飯を食べながら今後どう動くべきかを話し合っていた。その時、冒険者ギルドの受付のおねえさんから声を掛けられた。
「ジローさん、お話があります」
「なんですか、受付のおねえさん」
「ジローさんに義勇軍から任務がありますよ」
「義勇軍からの任務ですか、どのような任務でしょうか」
「パラス・アテネ王国へ赴き、女王グラドリエル様のお力になるよう尽力せよ、以上です」
「パラス・アテネ王国ですか、うーん、困りましたね、実は今、依頼という訳ではないのですが、人捜しをしているところでして」
「まあ、義勇軍の任務は強制ではありませんから、任務を遂行するかしないかはジローさんの判断に委ねられています、一応、義勇軍の任務があるという事はお伝えしましたからね」
「はい、任務の件、確かに聞きました、遂行するかはわかりませんが」
「わかりました、では、その様に」
「わざわざどうも」
そうか、パラス・アテネ王国で義勇軍の任務か、とてもじゃないが今は出来ないな、今はシスターマリーの捜索をしないとな。そこへルビーさん達から話掛けられた。
「何だい? ジローさんって義勇軍に入ったのかい」
「ええ、まあ」
「よりによって義勇軍なのジロー」
「そうですけど、何かな、サーシャ」
「あのね、私のおばあちゃんがまだまだ現役だった頃はそりゃあ凄かったらしいけどね、今の義勇軍って大して活躍してるって聞かないのよねえ、もう落ち目なんじゃないのかって」
「そ、そうなのですか、でも宿代がタダになりますよ」
「それぐらいでしょ、いいとこって、今活躍しているのはシャイニングナイツよ」
「何ですか、そのシャイニングナイツって」
「え? ジロー知らないの、女神の騎士団、シャイニングナイツを」
「はい、知りません」
「いい、シャイニングナイツっていうのはね、女神教の最大戦力で、今まで数々の功績を挙げてきた凄い女性騎士団なのよ」
「へ~、そうなんですか、何だか凄そうですね」
「このサラミスの街まで噂が流れてくるぐらいだからね、とにかく義勇軍とは月とすっぽんなんだから」
「そ、そうですか」
女神騎士団、シャイニングナイツねえ、まあ、今の俺には関係無い事柄みたいだな。
「まあ、宿代がタダになるってのは確かにいいけどね」
「そうですよね、宿代だって重ねると結構なお金ですものね」
「まあ、シャイニングナイツは女神教会に寝泊りするけどね」
「なるほど」
「それにしても、ジロー、義勇軍なんかに入ってどうしたいの?」
「いえ、特にはなにも」
「・・・そう」
そうなのか、義勇軍ってそんなに活躍しているわけじゃないのか、まあ、宿代がタダになるし、それだけでも十分ありがたいけどね。
それよりも、シスターマリーの捜索の件だ、どう動くべきか、・・・・・・ここはやはりルビーさんの助言どおり、ファンナと分かれて別行動するべきか。
「ファンナ、シスターマリーの捜索だけど、俺とファンナで別行動しないか」
「別行動ですか、どうすれば」
「まずは馬を借りてマゼランの都へと二人で行く、俺は馬に乗れないから二人乗りでね、そしてマゼランに着いたらまず人捜しと情報収集能力に長けた盗賊(シーフ)を雇う」
「シーフを雇った後はどうしますか」
「ファンナには悪いけどそこから別行動する、俺とシーフは西に向かって移動してパラス・アテネ方面に行き、セレニア公国を目指す、ファンナは東に向かって王都バーミンカムへ行ってサリー王女に会ってきてくれ」
「王都バーミンカムですか、わかりました、そこでサリー様に会ってシスターマリーの事を聞けばいいんですね」
「ああ、そうだ、頼めるかい」
「わかりました」
「じゃあ、そんな感じで明日から動こうか」
「はい、じゃあ今日はお酒はほどほどという事で」
「うん、ピピもいいかい」
「・・・いいよ」
そして、俺達は晩飯を食べながら色々話し合っていった。エールも一杯だけだ。明日からの行動も決まった、あとはそれぞれ予定通り動くだけだ。俺とピピは酒場兼宿屋の宿で眠った。
次の日、朝から冒険者ギルドでファンナと合流して、馬屋で馬を借りて、二人乗りでサラミスの街を後にする。馬の足なら一日でマゼランの都へと行けるはずだ。ピピは俺の服のポケットの中に入っている。
「それじゃあジローさん、行きますよ」
「ああ、よろしく頼むよ、ファンナ」
俺達は馬を走らせて一路、東へ、目指すはマゼランの都だ。途中馬の休憩をしながら移動した。やはり馬は速いな、もう半分ぐらいの距離まで来た。シスターマリーが連れて行かれて3日経った、バーミンカムかセレニアか、どちらにしても急いだ方が良さそうではあるからな。ファンナは馬を走らせる。
おじさん馬の二人乗りは慣れてないよ
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