第78話 エミリエルVSラッセル
俺達はガーゴイルを倒した、残るはラッセル・ドコスただ一人。
相手は貴族だ、確か伯爵家だったな、ならばこちらも。
「エミリエルお嬢様! 出番ですよ!」
「やっと私の出番なの! 待ちくたびれたわよ!」
「お嬢様、わたくしめのレイピアはお使いになられますか」
「必要無いわ、ギャリソン」
ドレス姿のエミリエルお嬢様がゆっくりと戦場へ向かって行く。ラッセルを見つめたまま一歩づつ近づいていく、お嬢様はなんだか怒っている様だ。
そしてエミリエルお嬢様はラッセルの前で歩みを止めた。ラッセルを睨みつけている、相当怒っている様だ。
「なにかなお嬢さん、私は忙しいのだが、ダンスの相手なら他を当たってくれたまえ」
「あら、女性からのお誘いをお断りするのかしら」
お嬢様は手袋を脱いでラッセルの顔に投げつけた。
「・・・お嬢さん・・・これがどういう事か解っているのかね・・・」
ラッセルは怒りに顔を歪ませていた。確かこの行いって決闘の申し込みだったような。
「まさか、お断りするおつもりではないですわよね」
「ふははははっ、いいだろう! 女子供でも容赦しないぞ!」
「ええ、よろしくってよ」
ラッセルは儀礼用の剣を抜いた、対してお嬢様の方は素手だ。いいのかな。
「武器は使わないのかね」
「ええ、このままでよくってよ」
「随分なめられたものだな、・・・・・・ふん!」
ラッセルは開始の合図も待たずにいきなり攻撃した。しかし動きを読んでいたのか、お嬢様は軽々と攻撃を避ける。
「やはりその程度の男でしたわね、それではこちらも行きますわよ!」
お嬢様は間髪容れずにラッセルに急接近した。速い。さすが盗賊お嬢様。
「ふんっ!」
お嬢様のワンツーパンチが炸裂。軽いジャブから本命の右ストレートパンチが決まった。
「ぐふっ、き、貴様! よくもこの私の顔を」
「今のは避けられましたよ、余所見でもしていたのですか?」
「もう許さん!」
ラッセルは儀礼用の剣をブンブンと振り回して距離を詰める。しかし、お嬢様は軽快なフットワークからバックステップで華麗に避ける。
「ええーい! 何故当たらんのだ!」
「王侯貴族ですもの、政略結婚の一つ位はあるものです、しかし、あなたの場合それが違うのでしょうね」
お嬢様は隙を突いて軽快なステップで接近し、ラッセルにまたワンツーパンチを食らわせた。
「くっ、お、おのれえ!」
「これではローゼンシル様がお可哀想ですわ、こんな男に!」
ラッセルの攻撃はことごとく避けられて、お嬢様は一定の距離を保っている。
「当たれ! 当たれ! くそ、何故当たらん!」
「女を道具としか見ていないあなたなんて、わたくしの敵ではありませんわ!」
お嬢様はラッセルの攻撃後の隙を突いて一気に接近した。
「同じ伯爵家の人間に倒されるなら本望でしょう、後腐れなくいきますわよ!」
急接近してからのハイキックが炸裂。ラッセルの顎を見事にとらえた。
お嬢様、あまり大股を開くとパンツ見えちゃいますよ。
ラッセルはエミリエルお嬢様のハイキックをまともに食らって、その場でダウンした。ラッセルはぴくぴくしながらのびている、この勝負、エミリエルお嬢様の勝ちだ。
「ごめんあそばせ」
お嬢様は優雅に一礼して、俺達の所へと来た。
「お疲れ様でした、エミリエルお嬢様」
「貴方達こそご苦労様でしたわ」
「「「「「「「「 わアアアアアアあーーーーーーーー! 」」」」」」」」
いきなりあちらこちらから歓声と拍手が聞こえてきた。
自分達が助かった事と、今までの事など色々複雑な事情がある人達なんだろうけど、これでようやく終わった事を感じ取っているのかもしれない。
{シナリオをクリアしました}
{経験点1000点獲得}
{シークレットシナリオをクリア}
{5BP獲得 1SP獲得}
お、久しぶりのファンファーレと女性の声だ。シナリオをクリアしたみたいだぞ。
ふう~、やれやれ。どうやら今回も何とかなったみたいだな。無事に終わった。
おじさん、さすがに疲れたよ
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