第73話 結婚式前夜
結婚式まであと1日、つまり明日ローゼンシル姫とラッセル・ドコスとの結婚式が行われる。王都には続々と王侯貴族達や国内外から貴族達がザンジバル王国の王都に到着している。警備も厳重だ、結婚式が行われる城も警備は硬いんだろうな。
しかし、そんな中、ピピは城に忍び込んで王様に手紙と解毒薬を渡してきたと言っていた。流石妖精。
「ピピ、怪しまれなかったかい」
「・・・ばっちり」
「そうかい、やるねえピピ」
「・・・えっへん」
後はエミリーの方なのだが、うまく行ったかな。
冒険者ギルドの酒場でみんなで朝飯を食べていると、エミリーの元気な声が聞こえてきた。
「任せなさい、結婚式の招待客になんとかなったわよ!」
「流石伯爵令嬢、頼りにさせていただきます」
「ふふーん」
「しかしエミリエルお嬢様とそのお付だけと言う事ですが、よろしかったのですか、ジロー様」
「ええ、ギャリソンさん、お嬢様のお付は俺達冒険者と護衛のランパ達なので問題無いはずですよ」
よし。これで結婚式に潜り込む事に成功したな。あとは王様の体の具合によるけど。
「ランディウス、お城の中に入ったら何とかして一人で王様に接触出来ないか」
「父上にですか、それは難しくありませんが、一体なにを・・・」
「娘の結婚式に父親がいないのはおかしいだろ、ご登場願うのさ、王子と一緒に」
「・・・なるほど、国王と一緒なら安全ですね」
「だろ」
「そう言う事なら、結婚式をぶち壊すのはこの俺に任せておけ」
「バンガード殿、何か策が・・・」
「へへへ、まあ任しとけって」
「髭のおっさん、言っとくけど衛兵に捕まる様な事はダメだからね」
「衛兵に捕まらなきゃいいんだな、任しとけって」
本当に大丈夫なんだろうか、少し不安だが、やってもらうしかない。
「それじゃあ俺は一足先に城に入るぜ、色々と準備しなきゃならねえからな」
「わかりました、お気をつけて」
「おう、任しとけ」
バンガード殿は冒険者ギルドを出て行った。大丈夫かな。なにやらかす気か知らないけど、ここはバンガード殿に任せてみよう。
後は俺達なのだが、はっきり言ってやることがない。いや、確かに王子とお嬢様の護衛を今まで通りやればいいんだけど、明日の結婚式まで1日ある。何かやることがないかと思っていても、あまり派手な事は慎むべきだし、今の段階ではやる事がない。
・・・王都観光って気分でもないし、護衛中なのであまり動けないものだな、と思ってまったり過ごす。
・・・お酒・・・少しだけ飲んじゃおうかな・・・
まだ昼前だからなあ、やめとくか。
・・・と、思っていたらルビーさん達が酒を注文し始めた。いいの。
・・・まあ、どうせやる事も無いし、いいか。
俺もエールを一杯注文する、一杯だけね。
「ローゼンシル姫に」
「「「「「「「 ローゼンシル姫に 」」」」」」」
「「「「「「「「「「 乾ぱああああああい! 」」」」」」」」」」
他の冒険者も巻き込んで飲み会になってしまった。みんな飲みたかったのか。結局お酒を飲んでしまった、一応警戒しなきゃいけないんだけど、まあ、ここは冒険者ギルドだし、いざって時はみんながいるからな。
結局一日中酒場に入り浸る事になってしまった。俺も3杯飲んだ。
いつの間にか眠ってしまった。
おじさん無茶な飲み方はしないよ
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