第14話 冒険者登録
俺とルビーさんは冒険者ギルドに戻ってきた、今は比較的冒険者の姿があまり見られない。みんな仕事に出かけているのだろう、ギルド内はガランとしていて静かなものだ。
「ゲイルの奴はまだ戻ってないようだね」
「そうですね、診療所が混んでいるんでしょうか」
「まあいいさ、ジローさん、冒険者登録してきなよ」
「はい、そうですね」
よ~し、早速冒険者ギルドのカウンターに行こう、カウンターにいる女性職員(美人)に声を掛ける。
「すみません、冒険者登録したいのですが」
「はい、冒険者登録ですね・・・復帰ですか?」
「いえ、初めてです」
「え? その歳でですか、すいません、お幾つですか?」
「42歳です」
「42・・・、普通は引退を考える歳なんですけど・・・」
やはりおっさんには冒険者は荷が重いと思われているのかな、基本的に冒険者って体力勝負みたいなところがあるっぽいからな。だけどここまできたんだ、やっぱりここは冒険者だよな。
「はい、新規登録でお願いします」
「畏まりました、ではこの書類に必要事項を記入してください」
・・・どうしよう、文字が書けない、というか解らない。
「すみません、字が書けないんですが・・・」
「あ、それでしたら代筆をしましょうか」
「お願いします、すいません」
「いえ、いいんですよ、字が書けない人は結構いますから」
「そうなんですか」
会話をしながら受付のお姉さんが何やら魔道具っぽい物を出してきた。
「これでギルドカードを作ります、この魔道具に手を触れて下さい」
「こ、こうですか」
魔道具っぽい何かに手を触れていると魔道具が光だした。
「お名前は何ですか?」
「あ、ジロー、田中次郎です」
「タナカジロー、と」
受付のお姉さんは書類に書き込んでいる。
「クラスは何ですか?」
「え~と、一応戦士です」
「ファイターですか、なるほど」
「なったばかりなんですけどね」
「そうなんですか、モンスターの討伐経験はありますか?」
「一応、少しだけ」
「討伐経験あり、と、これで登録は以上です。あ、もう手を放していいですよ」
「はい、ありがとうございます」
魔道具から手を離し、受付のおねえさんを見る。
「少し待っていて下さいね」
魔道具っぽい物から光が消えて何やらウンウン唸っている。
チーン
なんだ? 電子レンジみたいな音がしたぞ。
「どうやら登録完了みたいですね、それでは登録料として2千G頂きます」
「はい、銀貨2枚ですね、これでいいですか」
俺は銀貨2枚を取り出し、受付のおねえさんに渡す。
「はい、結構です、確かに頂きました」
「それでギルドカードと言うのは」
「少し待って下さいね」
受付のお姉さんは何やら魔道具っぽい物を見ている、これがギルドカードを作っているのか。暫くしてまたチーン、と鳴った。魔道具からなにかカードみたいなのが出て来た。
「はい、出来ました。こちらがギルドカードになります」
「おお、これが・・・」
ポケットサイズの鉄か何かでできたカードだった。
ギルドカードには俺の名前、クラス、それとF、という文字が描かれていた。このFってのはたぶんギルドランクだろう、駆け出しってやつだな。
「これであなたは冒険者ギルドのメンバーになりました、いいですね、犯罪などの行為は慎んで下さいね」
「解りました、気を付けて行動します」
「それではこちらが細かい事などが書かれた小冊子になります。どうぞ」
「ありがとうございます、依頼はあのクエストボードに貼ってあるやつから受ければいいんですか」
「そうです、そういうのは知っているんですね」
「ええ、たまたまです」
「それではタナカジローさんの活躍を期待しています、お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
やったぞ、これで俺も冒険者だ。何だか年甲斐もなくわくわくしてきたよ。
{冒険者になりましたので魔物討伐時に経験点が入ります}
なんだ、また頭の中で女性の声が聞こえたぞ。
モンスターを討伐して経験点が入る様になったのか。って事は今までモンスターを倒しても経験点が入ってこなかった訳か、なんて勿体無いんだ。
まあいいや、これからこれから。
ギルドカードを仕舞ってルビーさんの所に行く、ルビーさんは何かワインみたいなの飲んでる。
「おや、ジローさんどうだった」
「はい、無事に冒険者登録出来ました」
「そうかい、これからどうするんだい」
ふーむ、そうだな、これからの行動予定か、この街でお世話になる訳だし、色々日用品なんかの物を買ってこようかな。
「そうですね、武器や防具、それと下着などの日用品を買いに行こうかと思います」
「お、買い物かい、いいね。それじゃあジローさんの取り分の金貨1枚だよ」
ルビーさんは懐から金貨1枚を取り出して俺に渡してきた。俺はそれを受け取る。
「ありがとうございます。戦士用の武具屋っておすすめの店とかありますか」
「戦士用かい、それならハンマー&ナックルって店がいいね。あたいは遠慮するよ」
「ハンマー&ナックルですね、解りました、どの辺りにある店ですか」
「裏道りにある油っぽい匂いがする店さ、あたいはメイジだからねえ、あの店とは相性が悪いのさ」
「裏通りですね、ありがとうございます。早速行ってみます」
ルビーさんと別れて俺は冒険者ギルドを出て行く。
裏通りに向かって歩き出した、・・・武器か、男のロマンを感じる響きだ。
いくつになっても子供だな、俺って・・・
おじさん少しわくわくしてるよ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます