屍者の祭典 The Corpse Celebration
渡邉 清文
Introduction
〈東京2020〉、4年に一度の祭典がどのような形で開催されたのか、現地を訪れるフランス人はほとんどおらず、TV放映も最小限だったため、私たちはその実態をよく知らない。実際、フランスの〈人間〉は主要都市のロックダウンによって身動きが取れないままでいるのだから無理もない。シャルル・ド・ゴールは、今もターミナル1のみが開き、平常時の100分の1の旅行者が訪れているだけで、わずかに就航している路線の中に東京との往復は無い。選手団を派遣した特別機が4ヶ月前に前に飛び立ち、翌月帰国したのみである。感情的に東京を拒否する市民も少なくない。こんな言葉もあった。
「東京は、〈人間〉とは無縁の異世界だ」
そのような中、ギルモア研究所・通称Gラボのアルヌール博士がフィガロ=プラウダ紙と独占契約を結んだ記者として、いわばフランス人ジャーナリストの代表として東京を訪れた。間違いなく四年に一度の祭典は開催されたのだ。彼女の現地報告を、本紙は開会式直前から閉会式の日まで連日掲載した。
本配信記事は、その抜粋である。
(フィガロ=プラウダ 2020年11月22日)
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