capo-2
ちでんくん
capo -1 別れの出会い①
夏は嫌いだ。
脂汗が滲む額、イヤホンをしても耳に刺さるセミの声。
アコースティックギターを背負いマウンテンバイクを漕いでいる自分の顔に
ジリジリと陽が当たる。
「どこか涼しくて、人がいない場所は無えのかよ、、」
さっきから自転車を漕ぎながら周囲を見渡しては嘆いている。
夏休み真っ只中ってのもあり慣れ親しんでいる土手は家族連れ、
犬の散歩、野球少年と賑わっていた。
額の汗を腕で拭きながら自転車のスピードを飛ばしていると、
橋が見えてきた。
普段こっちの方まで来ないが、ここら辺は人通りも少なく橋の下は陽は遮られ
とても涼しかったので川の流れる音を聞きながら邪魔にならない場所に自転車を停めた。
背負ってるギターを背中から下ろし、ケースから取り出して適当に鳴らしてみるが、今朝家でチューニングし終わったはずのギターはなぜか音がずれていた。
チューナーをケースのポケットから取り出しチューニングしながらギターの弦を
1本ずつ鳴らしながらチューナーの反応を確認する。
心地の良い音が橋の下を響いた。
さっそく練習しているRAFWINPの曲の楽譜をスマホの画面に出して
弾いてみる。
日を重ねる毎に自分が上手くなっているのがわかるためギターがとても好きだ。
だが、スポーツなどの運動系は筋トレやら基礎練やらを毎日やったとこで簡単には結果が出ないため苦手であり、団体競技も苦手なので個人で簡単にできるアコギは自分にはもってこいだった。
AメロBメロを弾き終わりサビを弾き始めた時、風に運ばれた甘い柑橘系の匂いと共に気配を感じ、すぐさま振り返った。
そこには見ただけでわかる艶やかな黒髪がサラサラと風になびくのを手で押さえて、耳にかきあげながらきょとんとした顔で女性が自分を覗いていた。
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