第111話 起きてみると

ここは九木礼中学校の3年1組の教室内である。


大きな声で晴南は呼びかけられていた。


「ちょっと晴南??晴南ったら??」


「起きてよ、晴南!!」


晴南はその呼びかけの声に少し不機嫌な様子で顔を上げてその声の主に答えたのだった。


「もう何よ??」


その声の少女が答えた。


「いつまで寝てるのよ??」


晴南がその声に言った。


「えっ??」


晴南の前には美咲が立っていた。


「いつまで経っても起きてこないから起こしたのよ。」


晴南が少し不機嫌そうに美咲に言った。


「気持ちよく寝てたんだから起こさないでよ。まだ授業も始まってないでしょ?」


すると美咲が時計を指さしながら晴南に言った。


「もうとっくに12時過ぎてるわよ?」


晴南が少し驚いた様子で美咲に言った。


「えっ??もうそんな時間??まだ8時くらいじゃないの?」


晴南が教室の時計を見てみると確かに正午を大きく過ぎていたのだった。


晴南は教室の机で眠ってしまっており、それを美咲に起こされたのだった。


晴南が美咲に言った。


「あっ本当だ。気持ちよく寝てたみたいね。」


美咲が晴南に言った。


「学校に来てみたらグーグー寝てるし、全然起きてこないから晴南を起こしたのよ。」


晴南が美咲に言った。


「そうだったのね。」


すると晴南が少し眠そうにアクビをしながら美咲に言った。


「ふぁー??まだ昼休みならもう少し寝てようかしらね。美咲?校長先生が来たら起こしてよ。」


美咲が晴南に言った。


「ちょっと晴南まで七緒みたいな事言わないでよ。もうお昼過ぎてるのよ寝てていいわけないでしょ。それに私みんなが起きてくるのをずっと待ってたのよ。」


晴南が美咲に聞き返した。


「みんな?」


晴南は教室内を見渡したのだった。


すると他の席では麻衣子達が眠りこけているのだった。


晴南が美咲に言った。


「分かったわ、それじゃあそろそろ起きますか。」


晴南はそういうと席から立ちあがった。


そして寝ているみんなを起こしていくのだった。


「ちょっと麻衣子!!!麻衣子!!」


麻衣子が顔を上げて晴南に言ったのだった。


「あっ晴南、ごめんごめん寝っちゃってたみたいね???」


晴南はすぐにみんなを起こしたのだった。


晃太が晴南に言った。


「悪い、眠ってたみたいだな。」


拓也が晴南に言った。


「さすがに徹夜明けは眠いな。」


すると美咲がみんなに尋ねた。


「なんでみんな眠そうなの??」


晴南が美咲に言った。


「えっと話してもいいけど怖い話になるわよ??それでも聞く??」


美咲が嫌そうな顔で晴南に言った。


「えっ???だったらいいわ。話さないで。聞きたくない。」


晃太が美咲に尋ねたのだった。


「それじゃあもう校長先生は帰っちゃったのか?」


美咲が晃太に言った。


「それが校長先生来てないのよ。」


晃太が美咲に言った。


「そうなのか。」


優斗が晃太に言った。


「校長先生休みかな??」


拓也が晃太に言った。


「校長先生が休む時は晃太か晴南に連絡をしてくれるんだけどな。」


晃太が拓也に言った。


「ああ家の方に連絡がくる。ただ昨日は家にいなかったから校長先生から連絡があったかどうかは家に帰ってみないと分からないな。」


拓也が晃太が言った。


「タイミング悪く晃太が家にいないときに休みの連絡が来たって事か。」


晃太が拓也に言った。


「断定はできないが、その可能性は高いだろうな。」


優斗が晃太に言った。


「校長先生が休みだとすると、今日はもう授業はないよね。」


晴南がみんなに言った。


「それなら部活部屋に行きましょう。」


晴南達は部活部屋へと移動したのだった。


晴南達は部活部屋で三緒に用意してもらったお弁当を食べると、そのまま部活動を始めるのだった。


晴南がみんなに尋ねた。


「さてと今日の部活は何にする??」


すると美咲が晴南に言った。


「晴南??今日は文科系の活動の日だから運動系の部活動はなしよ。」


晴南が美咲に言った。


「もう分かってるわよ。」


麻衣子が美咲に尋ねた。


「それで美咲は今日の部活動は何がやりたいの?」


美咲が麻衣子に言った。


「今日の部活動は書道にするわ。」


麻衣子が美咲に言った。


「書道か。」


美咲が麻衣子に言った。


「そう書道よ。書道ってまだやった事がないでしょ。」


麻衣子が美咲に尋ねた。


「でも習字道具なんて持ってきてないわよ?どうする気??」


美咲は困った様子で言った。


「あっ??」


麻衣子が美咲に言った。


「考えてなかったの。」


すると冬湖が麻衣子に言った。


「麻衣子さん。それでしたら備品室に書道部で使っていた習字道具がありますよ。たぶん私達の人数分くらいはあると思います。」


美咲が麻衣子に言った。


「そういう事よ、心配ないわ。」


麻衣子が美咲に言った。


「いや絶対考えてなかったでしょ。」


麻衣子が冬湖に言った。


「でも冬湖よく備品室に習字道具があるなんて知ってたわね?」


晃太が麻衣子に言った。


「冬湖が書道部だったからじゃないか。」


冬湖が頷きながら麻衣子に言った。


「はい。そうなんです。」


すると晴南が考え事をしながらみんなに言った。


「書道か??何とか面白くできないかしらね??」


美咲が晴南に言った。


「晴南??今日は普通に書道するから変なアイデア出すのも禁止よ。」


晴南が美咲に言った。


「ええっ??普通に書道なんてつまらないじゃない。」


美咲が晴南に言った。


「いつも変な事ばっかりしてるんだから、たまには普通に部活してもいいでしょ。」


美咲がみんなに尋ねた。


「みんなはどう??」


拓也が美咲に言った。


「いいんじゃないか。」


冬湖が美咲に言った。


「私も賛成です。」


優斗が美咲に言った。


「書道で心を落ち着かせるのもいいかもね。」


美咲が勝ち誇ったように晴南に言った。


「晴南??みんなも賛成みたいよ。」


晴南が美咲に言った。


「もう分かったわ。普通に書道すればいいんでしょ??」


それから備品室から習字道具を人数分持ってくると部活部屋で書道を始めるのだった。


晴南にとっては退屈な時間を過ごす事になるのだった。


それから午後5時になった。


時計をみながら麻衣子がみんなに言った。


「もう午後5時か。そろそろ終わろっか。」


美咲が麻衣子に言った。


「そうね。」


晴南が嬉しそうな顔でみんなに言った。


「やっと終わった!!ただ墨汁で文字を書いていくだけなんて退屈すぎるわ。」


麻衣子が晴南に言った。


「書道ってそういうものだから仕方ないでしょ。」


優斗が晴南に言った。


「書道をやってて僕はかなり有意義だったけど。」


美咲が晴南に言った。


「私からしたらこういう部活動を毎日してほしいくらいよ。」


麻衣子が晴南に言った。


「まあいいじゃない晴南?明日からは運動系の活動ができるんだし。」


晴南が麻衣子に言った。


「そうね、明日の部活動を楽しみにしておくわ。」


晃太がみんなに言った。


「それじゃあ校舎の戸締りをして帰ろうか。」


晴南達は手分けして校舎の戸締りをするとそのまま帰路についたのだった。


帰り道に晴南が晃太と優斗に言った。


「それじゃあ優斗、晃太、終わったら家に来てちょうだい。」


晃太が晴南に言った。


「ああ、分かった。」


美咲が晴南に尋ねた。


「晴南??晃太君達とどこかに行くの??」


晴南が美咲に言った。


「二実さんの所に行くのよ。」


美咲が晴南に尋ねた。


「二実さんの所に何しに行くの?」


晴南が美咲に言った。


「教えてもいいけど、怖い話になるわよ??それでもいい??」


美咲が首を横に振って晴南に言った。


「ならいいわ。」


すると美咲が麻衣子に言った。


「ねえ麻衣子??この後でベリエに行かない??チョコレートパフェが急に食べたくなってきたの。」


麻衣子が美咲に言った。


「ベリエかべつにいいわよ。」


美咲が冬湖と由香に尋ねた。


「冬湖と由香もどう?」


冬湖が美咲に言った。


「はいもちろん行かせてもらいます。」


由香が美咲に言った。


「わ、私も行きたいです。」


そして晴南達はそこで分かれたのだった。

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