第98話 オバケなんて
7月2日の午後2時を過ぎた。
晴南達は封木神社の下社まで下っていった。
そして第一社務所の大広間に戻って来た。
晴南達は大広間の床に腰を下ろすのだった。
由香が興奮した様子で麻衣子に言った。
「でもすごい取り合わせでしたよね?オバケ、魔王軍、神様の組み合わせですよ。」
麻衣子が由香に言った。
「口にしてみたら確かにすごい取り合わせだよね。何その取り合わせ??って感じよね。」
優斗が晃太に言った。
「しかし予想以上にややこしい事になってたね。」
晃太が優斗に言った。
「そうだな、セルティアって神が俺達を殺そうとしていて、魔王ゼルゴンっていうオバケが俺達を助けようとしてくれてるんだ。しかもその両者は異世界ドルイアって所から来ている。」
優斗が晃太に言った。
「まあ意味不明な状況で何一つ分からなかった時よりは大きく前進したとは思うけど。」
晃太が優斗に言った。
「ただ状況が分かった以上、次の方針をみんなで話し合って決めておかないとな。」
すると晴南が晃太に言った。
「私はセルティアに殺されてまで異世界なんて行きたくないわよ!!」
由香が晃太に言った。
「私も殺されるのは嫌です。」
晴南がみんなに尋ねた。
「ねえ?セルティアに殺されてまで異世界に行きたいと思う???」
すると麻衣子が晴南に言った。
「私だって死にたくはないな。そりゃ安全に帰ってこれるというなら行ってみたいっていう気持ちもなくはないけど。」
冬湖が晴南に言った。
「そうですね。殺されてまで行きたいとは思いませんよね。」
晴南が冬湖に言った。
「そうでしょう。なんで異世界にいく為に殺されなきゃならないのよ!!まだ高校生にもなってないのよ!!」
亜美が晴南に言った。
「私も死にたくはないです。」
長孝が晴南に言った。
「そうっすね俺もハル姉に同感っす、命を失ってまで行きたくはないっす。」
殺されてまで異世界に行きたがるメンバーは誰もいなかった。
優斗がみんなに言った。
「となると次に問題になるのがリグロさん達と協力していくべくかどうかだね。」
晴南が優斗に言った。
「それならリグロさんに助けてもらえばいいだけでしょ??」
すると慎吾が晴南に言った。
「リグロしゃんば信用してもいいんばいか?」
由香が心配そうな様子で晴南に言った。
「確かにリグロさんの言う事をそのまま鵜呑みにしていいんですか??魔王ゼルゴンの使いで来てるって言ってましたよ??」
拓也が晴南に尋ねた。
「リグロさんの話によるとその魔王ゼルゴンっていうのはオバケ達の大ボスなんだろう??信用して大丈夫なのか?」
美咲が晴南に言った。
「そうよ!!あんなオバケ連中を頼るのは危ないわ!!」
すると優斗がみんなに言った。
「僕はリグロさん達を信用して大丈夫だと思うよ。」
拓也が優斗に尋ねた。
「そう思う根拠を教えてくれるか?」
優斗が拓也に言った。
「さっきも言ったけど、明井田ではたくさんの人達が首吊り自殺をして、明井田の人達の反応もおかしかった。明井田にいる勢力は間違いなく悪意があるよ。一方で九木礼では誰も死んでない。これだけで明井田にいる勢力は信用できないって判断できる。」
拓也が優斗に尋ねた。
「俺達を騙そうとしている可能性はないのか?」
優斗が拓也に言った。
「もし僕たちに悪意を持っているのなら詳しい情報を教えないと思うんだよね。僕たちが訳が分からない状態の方が悪事を働きやすいからね。情報を教えてくれたって事は僕たち自身が危険に晒されているって事を認識して欲しかったからだと思うんだ。」
すると美咲がみんなに言った。
「あのオバケ達は私たちに適当な嘘をついていたかもしれないわよ?」
晃太が美咲に言った。
「いやそれはない。話にはちゃんと筋が通っていたし、辻褄もだいたい合っていた。適当に嘘を並べていたのなら辻褄があわずにちぐはぐな説明になっていたはずだ。現状を見る限りは明井田にいるセルティア一派よりは信用できる。」
優斗が美咲に言った。
「僕も同感だね。フウキ様も魔王ゼルゴンさんの方が話が分かるって言ってたしね。」
晃太が二実に尋ねた。
「二実さんはどう思いますか??魔王ゼルゴンさんを信用できると思いますか?」
二実が晃太に言った。
「うーん正直な所、私もリグロや黒輪に全幅の信頼を置いちゃって大丈夫かなって思わなくもないけど。ただ私はフウキ様を信じてるからフウキ様が魔王ゼルゴンを信用するっていうなら、信じてみるつもりよ。」
晃太が二実に言った。
「そうですか。」
すると三緒が二実に言った。
「だったらリグロさんの前でゼルゴンさん信用できますかって聞かなきゃ良かったでしょ?」
二実が三緒に言った。
「フウキ様から彼らを信用できるって聞きたかったのよ。そうじゃなきゃ安心できないわ。」
二実がみんなに言った。
「ただ今は信用していいかもしれないけど、セルティアの問題が解決したら魔王ゼルゴンがセルティアと同じような事をするかもしれないわ。」
拓也が二実に尋ねた。
「セルティアがいなくなった後で地球を支配するって事ですか?」
二実が拓也に言った。
「まああくまで可能性の話だけどね。」
美咲が大きな声で言った。
「そうよ!!あんなオバケ共を信用しちゃだめよ!!絶対に裏切るわ!!」
晃太が美咲に言った。
「確かにセルティアの問題が片付いた後でリグロさん達が変わらず友好的でいてくれるかは正直分からないな。」
美咲が晃太に言った。
「そうでしょう!!危険よ!!」
優斗が美咲に言った。
「とはいえその状況になるには、まずセルティアから逃げきって生き延びないとね。」
晃太が優斗に言った。
「そうだな明日生き残れるか分からない状況で1年後の心配しても仕方がないな。」
優斗が晃太に言った。
「となると答えはもう出てるね。」
晃太が優斗に言った。
「晴南の言う通りリグロさん達と協力した方がいいな。」
美咲が晃太に言った。
「ちょっと晃太君???オバケなんかの言う事を信じるの??あいつらオバケなのよ!!幽霊なのよ!!きっと私たちを祟り殺そうとしてるに違いないわ!!!」
すると晴南が美咲に尋ねた。
「美咲は殺されて異世界ドルイアに行きたかったの??」
美咲が晴南に言った。
「行きたくないわよ!!それとこれとは話が別でしょ!!」
晃太が美咲に言った。
「いや別ではないぞ。リグロさんは俺達を守る為にきてる訳だからな。」
美咲が晃太に言った。
「だから呪い殺そうとしてるに決まってるわ!!!」
麻衣子が美咲に言った。
「美咲怖いのは分かるんだけど、落ち着いて冷静になって。」
美咲が麻衣子に言った。
「冷静になってるわよ!!麻衣子こそオバケなんかの言う事信じるつもりなの!!あいつらオバケなのよ!!」
麻衣子が美咲に言った。
「確かにオバケかもしれないけど、私たちを助けようとしてくれてる。」
亜美が美咲に言った。
「はい、きっとあのオバケさん達はいい方々なのだと思います。」
七緒が美咲に言った。
「うん、信じた方がいいと思うよ。」
美咲が大きな声で言った。
「なんでみんなコロっと騙されてるのよ!!」
晴南が美咲に言った。
「別に騙されてはないと思うけど。」
美咲が晴南に言った。
「それよりももっと大事な事があったでしょう!!!」
晴南が美咲に尋ねた。
「えっ??これ以上大事な事って何よ??」
美咲が晴南に言った。
「家のお祓いしてよって話だったでしょう!!」
晴南が美咲に言った。
「あっ!!そういえばそうだったわね!!すっかり忘れてたわ!!」
美咲が晴南に言った。
「もうどれだけ待たせるつもりなのよ!!お祓いしてくれないと私いつまで経っても家に帰れないじゃない??」
麻衣子が美咲に言った。
「まあ美咲にとっては一大事だね。」
二実が美咲に言った。
「私はいいよ、それじゃあ今から美咲ちゃんの家に行きましょうか。」
すると優斗が二実に言った。
「待ってください二実さん。これから黒輪さんやリグロさんと協力関係を築いていくとなると、リグロさん達にも話を通した方がいいんじゃないですか?」
晃太が優斗に言った。
「確かにな、ちゃんと話をしておいた方がいいかもな。」
晴南がみんなに言った。
「なら今からリグロさんの所に確認しに行くわよ!!」
美咲が晴南に言った。
「はあ??さっき下山してきたばかりでしょう!!!なんでまた登山しなきゃならないのよ!!」
晴南が美咲に言った。
「はやくお祓いして欲しいって言ったのは美咲でしょう??」
美咲が晴南に言った。
「なんでお祓いするのに、オバケに相談しに行くのかって事よ!!!悪霊退治をオバケに知らせる必要なんてないでしょう!!」
麻衣子が美咲に言った。
「でも美咲の家にいるのが悪霊とは決まってないでしょう??私もちゃんと伝えておいた方がいいと思うわ。」
美咲が麻衣子に言った。
「私を怖がらせてるんだから悪霊に決まってるでしょ!!ふざけないでよ!!」
拓也が美咲に言った。
「こっちから信頼関係にヒビを入れるような事はしない方がいいと思うぞ。」
美咲が大声で言った。
「いい加減にしてよ!!!さっきからオバケの話しかしてないじゃないの!!あんな悪霊共なんか退治すればいいのよ!!!」
麻衣子が美咲に言った。
「美咲!!それは言い過ぎだよ!!」
美咲が大声で言った。
「もういいわ!!帰る!!!」
美咲が怒りの形相で立ち上がると大広間から出ていこうとした。
すると三緒が立ち上がり美咲に言った。
「待って美咲ちゃん、九木礼温泉まで送ってくわ。」
美咲と三緒は大広間から出ていった。
晃太が言った。
「全員が納得したうえで結論を出したかったけどな。」
麻衣子が晃太に言った。
「美咲の同意を得るのは大変そうね。」
二実が麻衣子に言った。
「まあ美咲ちゃんの言いたい事も分からなくは無いけどね。」
その後晴南達は再び封木山を登って封木神社の上社に向かうのだった。
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