第72話 相談相手
晴南達が階段を静かに降りていった。
そして慎重に2階フロアの捜索を始めた。
晴南達は慎重に各部屋を調べていった。
だが不審者らしき人物は見当たらなかった。
優斗が拓也に言った。
「2階には誰もいなかったね。」
拓也が優斗に言った。
「となると1階か。」
二人が一旦安堵していると晴南が階段から1階に向けて大声で叫んだ。
「不審者に告ぐわ!!お前は完全に包囲されている!!諦めて出てきなさい!!」
晴南が再び大声で叫んだ。
「不審者に告ぐわ!!無駄な抵抗は止めて自首しなさい!!」
晃太が晴南に言った。
「晴南??大声出しちゃダメだろう!!わざわざ不審者に俺達が2階にいるって教えてどうするんだ。」
晴南が晃太に言った。
「気持ちで負けたらダメでしょ??」
晃太が晴南に言った。
「そういう問題じゃないだろう。まあ最ももう不審者に俺達の事はバレただろうから、もうコソコソする事に意味はないか。」
晴南がみんなに言った。
「さあ不審者と雌雄を決する時が来たわ。この勝負ですべてが決まる!!全力を出し切るわよ!!!」
拓也と優斗と晃太が言った。
「おう!!」
そして晴南達が階段を降りて1階に向かった。
1階に到着すると慎重に捜索を開始した。
だが不審者の姿は1階のどこにも無かったのだった。
拓也が晃太に言った。
「ここで最後だな??」
晃太が拓也に言った。
「そうだな。」
拓也が晃太に言った。
「おかしい、だれもいないぞ。どこか見てない部屋はあったか?」
晃太が拓也に言った。
「いや見落としてる場所はないはずだ。」
拓也が晃太に言った。
「となると不審者は晴南の大声に驚いて外に逃げたのか?」
晃太が拓也に言った。
「まずいな、外には麻衣子達がいる。」
するとそこに晴南がやってきて晃太に言った。
「大丈夫よ、麻衣子達は。外に行って麻衣子達と話してきたけど、大丈夫そうだったわよ。」
晃太が晴南に言った。
「そうなのか、なら良かった。」
拓也が晴南に言った。
「ならもう大丈夫だな。」
その後すぐに美咲に不審者がいない事を教えに行った。
そして、美咲が1階に降りてきて盗まれた物がないかを調べていた。
優斗が美咲に尋ねた。
「どう??何か盗まれた物はありそう??」
美咲が優斗に言った。
「見た感じは大丈夫だと思う。」
美咲が安堵した様子で言った。
「良かった、全然荒らされてなくて。」
晴南が美咲に尋ねた。
「ところで美咲?今日は学校行くの?」
美咲が晴南に言った。
「ええ行くわ。」
晴南が美咲に言った。
「なら学校に行く準備してあげるわ!!ついでに美咲の机を漁らせてちょうだい!!」
晴南はそう言うとキッチンを出て階段を駆け上がっていった。
美咲が晴南に言った。
「ちょっと晴南??私の部屋でなにするつもりよ!!」
すると美咲も慌てて3階に上がっていった。
ダイニングには晃太と拓也と優斗の三人が残った。
晃太が優斗に言った。
「さて俺達も外にでるか。」
優斗が晃太に言った。
「そうだね。」
すると突然ダイニングに知らない女性の大声が響き渡った。
「許さないわ!!!絶対に許さない!!祟ってやる!!!祟ってやる!!!祟ってやる!!!あの女に私がどれほど苦しめられたかを思い知らせてやる!!」
拓也が驚いた様子で言った。
「なんだ??」
すると今度は冷静な口調の女性の声がダイニングに響き渡った。
「彼女はそう恨めしそうに吐き捨てるとその場を去っていきました。それから3日後の事です。私はなにげなく彼女の家の前を通り過ぎました。するとなぜか人だかりができていました。」
すると優斗がテレビのリモコンを操作した。
ダイニングに響いていた女性の声は徐々に小さくなっていった。
拓也が優斗に尋ねた。
「優斗、何が起こったんだ??」
優斗が拓也に言った。
「テレビがついたんだよ。」
拓也が優斗に言った。
「テレビなんてついてないじゃないか?」
優斗は再びリモコンを操作した。
するとテレビ画面が徐々に表示されていった。
優斗が拓也に言った。
「画質の設定で明るさがほぼ0になってたから真っ黒で何も見えなかったんだよ。」
画面を明るくするとテレビ画面には、怪談番組の映像が映し出されていた。
怪談番組の音声がダイニングに響いていたのだった。
少しして晴南と美咲がドタバタと降りてきた。
ダイニングにやってきた晴南が優斗に尋ねた。
「ちょっと??何やってるのよ??」
優斗が晴南に言った。
「ごめん、リモコンを踏んじゃってテレビがついちゃったんだ。」
晴南が優斗に言った。
「すぐに学校に行くわよ。」
拓也が晴南に言った。
「分かった、俺達もすぐに出る。」
全員が美咲の家の外に出た。
外に出た晴南達はすぐに美咲の家から出発して学校へと向かった。
晴南が美咲に言った。
「ねえ帰りに警察署に寄りましょうよ?」
美咲が晴南に言った。
「ドロボウは逃げたし、盗まれた物もなさそうだし別に行かなくていいでしょ。」
晴南が美咲に言った。
「せっかくの機会なんだし警察に行きましょうよ??」
美咲が晴南に言った。
「なんでそんなにいきたいわけ??」
晴南が美咲に言った。
「事情ちょーしゅっていうのをされてみたいのよ。こんな時じゃないとしてくれないでしょ。」
美咲が晴南に言った。
「事情聴取なんて普通されたくないでしょ?もう何考えてるのよ。」
晴南が美咲に言った。
「お願いよ、美咲。」
美咲が晴南に言った。
「もう分かったわ。帰りに寄るからそれでいいでしょう。」
晴南が美咲に言った。
「ありがとう美咲!!」
一方で列の後方を歩いていた麻衣子が近くを歩いていた拓也に話しかけた。
「ねえ拓也君?結局美咲の家で何があったの?晴南が出てきたと思ったらそのまま出発になっちゃったから何があったのか聞けてないんだけど??」
拓也が麻衣子に言った。
「昨日の真夜中に不審者が美咲の家に侵入したらしい。それで美咲はずっと自宅の3階に閉じ籠っていたらしい。」
麻衣子が拓也に尋ねた。
「それでその不審者は??」
拓也が麻衣子に言った。
「さっき家中を探したがどこにもいなかった。たぶん俺達が来る前に逃げたんだろう。」
麻衣子が拓也に尋ねた。
「そうなの?何か盗られた物はあるの?」
拓也が麻衣子に言った。
「美咲の話だと特に何も盗られてないみたいだ。」
麻衣子が拓也に言った。
「でも良かった。美咲が無事で。」
すると拓也が前を歩いている晃太と優斗が難しい顔をしているのに気がついた。
拓也が晃太と優斗に尋ねた。
「二人とも難しい顔をしてどうしたんだ??」
優斗が拓也に言った。
「少し気になる事があってね。」
晃太が麻衣子に尋ねた。
「麻衣子はずっと外にいたんだよな。誰か家の中から出てこなかったか?」
麻衣子が晃太に言った。
「ううん、ずっと外にいたけど、誰も出てきてないよ。」
晃太が麻衣子に言った。
「そうだよな。」
拓也が晃太に言った。
「何を考えこんでるんだ?」
晃太が拓也に言った。
「美咲は気づかれないように部屋から紙を落としたと言っていただろう。」
拓也が晃太に言った。
「確かに言ってたな。でもそれがどうかしたのか?」
晃太が拓也に言った。
「なのに不審者が家のどこにもいなかった。おかしくないか?」
拓也が晃太に言った。
「だから俺達が美咲の家に来る前に逃げたんだろう。」
晃太が拓也に言った。
「美咲が紙を窓からこっそり落としたって事はあの時まだ不審者が家の中にいたって事だろう。そして俺達が来る直前までガタゴト音がしていたとも言っている。そして外にいた麻衣子達は誰も出てくる所を見ていない。つまり不審者は俺達が美咲の家に来た時はまだ家の中にいたはずなんだ。なのになんでその不審者の姿は忽然と消えてしまったんだ??その不審者はどこにいったっていうんだ??」
優斗が拓也に言った。
「それにもう一つ気になる事があるんだ。1階も2階もはほとんど荒らされてなかったよね?」
拓也が優斗に言った。
「荒らされなくてよかったって美咲が言ってたな。」
優斗が拓也に言った。
「美咲の話だと午前2時頃に不審者が侵入したはずだよね。そして美咲の家に着いた時はもう正午を過ぎてた。10時間ちかくも不審者が暴れていたはずなのに1階も2階もかなりきれいでほとんど荒らされていなかった。不審者が長時間ガタゴトしていたのなら家の中はもっと荒れてるはずだよね。」
拓也が優斗に尋ねた。
「それじゃあまさかリモコンを踏んだっていうのは?」
優斗が拓也に言った。
「ごめん、実はリモコン踏んでないんだ。美咲が怖がると思って嘘をついたんだ。」
拓也が優斗に言った。
「それじゃあ勝手にテレビがついたって事か。」
優斗が拓也に言った。
「うん画面が真っ暗な状態でね。」
麻衣子が優斗に言った。
「晴南のイタズラじゃないかな?2階か3階から晃太君達を驚かそうと別のリモコンでテレビをつけたとか?」
晃太が麻衣子に言った。
「晴南はあの時、俺たちの上の階にいたけどたぶんそれは無理だ。電波っていうのは天井や壁を通過すると減退する。テレビのリモコンの電波じゃ壁や天井を超えるのは無理だ。」
晃太が拓也に言った。
「拓也??スマホを確認してくれないか?」
拓也が晃太に言った。
「えっ??ああ。」
拓也が慌てて自分のスマホを取り出した。
すると拓也のスマホは茶色の変色がなくなり、黒一色のスマホに戻っていた。
拓也が驚いた様子で言った。
「どういう事だ??スマホが元に戻ってる??」
晃太が拓也に言った。
「俺のスマホも元に戻ってる。SNSも普通に使えた。」
そう言うと晃太はスマホを取り出してスマホ画面を見せた。
晃太のスマホも茶色の変色は完全になくなっており、白一色のスマホに戻っていた。
晃太が拓也に言った。
「理由が全然分からない。ただこの事は勇雄(いさお)さんじゃなくて二実さんに相談した方がいいかもしれない。」
優斗が拓也に言った。
「先週もベルガに寄った時に店員さんに紫色の服の女の子がいるって言われてたしね。」
拓也が二人に言った。
「そうだな。分かった。ただこの話は美咲には黙っておこう。無駄に怖がらせたくはないからな。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます