第43話 宿泊

麻衣子と亜美が話をしていた。


麻衣子が亜美に言った。


「カレーライス美味しかったわね。」


亜美が麻衣子に言った。


「本当に美味しかったです。こうふうにみんなで食べるのっていいですね。」


麻衣子が亜美に言った。


「そうね。」


すると晴南が麻衣子の所にやって来た。


そして麻衣子に尋ねた。


「ねえねえ麻衣子?なんで突然いなくなったの?一体何があったのよ?」


すると近くにいた晃太が晴南に言った。


「晴南?麻衣子も疲れてるだろうし、それは聞かなくてもいいだろう。」


晴南が晃太に言った。


「えっー!だって気になるじゃない?」


晃太が晴南に言った。


「こういう時はそっとしとくべきじゃないのか?」


晴南が晃太に言った。


「分かったわ。それならこの後で何するかを考えましょ?」


晃太が晴南に言った。


「このままお開きにした方がいいだろうな。」


晴南が晃太に言った。


「ダメよ!今日はまだ全然遊んでないのよ?このまま帰れるわけないでしょう?」


晃太が晴南に言った。


「そうは言ってもああいう事があった後だぞ?」


晴南が晃太に言った。


「だから遊び倒すんでしょう?遊び倒せば、嫌な事もパッーと忘れられるでしょう?」


晃太が麻衣子に尋ねた。


「麻衣子?晴南はこう言ってるが?どうする?」


麻衣子が晃太に言った。


「私はいいよ。みんなでワイワイしてたいし。」


美咲が晃太に言った。


「晃太君、私もそっちがいいかな。」


晃太が由香に尋ねた。


「由香はどうだ?」


由香が晃太に言った。


「わ、私も遊びたいです。」


晃太が晴南に言った。


「それなら俺がどうこういう事じゃないな。分かったそうしよう。」


晴南が晃太に言った。


「そうそう、パーっと騒ぎましょう。そのために来たんだから!!」


晴南がみんなに言った。


「それじゃあまずキャンプファイアーをするわ!!みんな外に出てちょうだい!!準備を始めるわよ!!」


麻衣子が晴南に言った。


「ちょっと晴南?まず先に食器を片付けないとダメでしょ?」


晴南が麻衣子に言った。


「えー、片付けなんてやりたくないわ!!今日は片付けなくてもいいんじゃない?」


麻衣子が晴南に言った。


「いい訳ないでしょ!!」


優斗が麻衣子に言った。


「なら食器を片付ける班とキャンプファイヤーを準備する班に分かれたらどう?」


麻衣子が優斗に言った。


「そうした方がいいわね。」


晴南がみんなに言った。


「なら拓也、慎吾、長孝はキャンプファイヤーの準備を手伝ってちょうだい!」


すると二実が晴南に言った。


「それなら私も晴南ちゃんを手伝うわ。」


晃太がみんなに言った。


「それじゃあ残りのメンバーで後片付けをしよう。」


二班に分かれて後片付けとキャンプファイヤーの準備が平行して行われた。


麻衣子達が片付けを終わらせて、食堂で待っていると晴南が食堂まで呼びにきた。


晴南がみんなに言った。


「待たせたわね!準備ができたから外に出てきて!」


片付けをしていたメンバーが続々と食堂の外に出て行った。


だが七緒が一人だけ立ち上がらずに食堂の机で寝ていた。


それに気づいた三緒が七緒の所にやって来て大きな声で言った。


「ちょっと七緒?キャンプファイヤーよ。みんな外に行くよー!起きなさい!!」


七緒が寝ぼけた様子で言った。


「う・・ん、。・・・起き・・・。」


だが七緒はまた眠ってしまった。


三緒が七緒に言った。


「もう七緒!!起きなさいってば!!」


結局寝ぼけ眼の七緒を三緒が引きづって広場まで連れて行った。


外は真っ暗であった。


だが広場の方は少し明るくなっていた。


晴南はみんなを連れて第二社務所前の広場にやって来た。


広場までやってきた一同はみな驚いていた。


晃太が晴南に尋ねた。


「なあ、晴南?あれはなんだ?」


晴南が晃太に言った。


「キャンプファイアーよ?見れば分かるでしょ?」


晃太が晴南に言った。


「すまない、見ても分からないし聞いても分からない。」


すると麻衣子が晴南に言った。


「あれかがり火台でしょ?どういう事?」


第二社務所の正面にある広場には三つのかがり火台が用意されてその上に燃料となる薪木が置かれていた。


晴南が麻衣子に言った。


「せっかく神社に来たんだし、かがり火を焚こうって思ったわけよ。」


晃太が晴南に尋ねた。


「なんで三つも用意してあるんだ?」


晴南が晃太に言った。


「一つだと物足りない感じだったのよ!だから三つ用意してみたの。」


麻衣子が晴南に尋ねた。


「かがり火台を置いた理由は分かったけどさ?このライトアップは何なの?」


真っ暗な広場には投光器(とうこうき)(屋外用の照明器具)が三台ほど置かれており、真っ暗な夜の広場を照らしていた。


ただ三台の投光機全てがかがり火台の近くに置かれておりそれぞれ近くにあるかがり火台を照らしていた。


暗い広場の中で3つのかがり火台は鮮やかにライトアップされていた。


晴南が麻衣子に言った。


「ライトアップして綺麗に見えない?」


麻衣子が晴南に言った。


「いやそういう事じゃなくてさ、かがり火台をライトアップしてどうするのって話?かがり火台って明かりを灯す物でしょ?照明器具に照明当ててどうするのよ?」


晴南が麻衣子に言った。


「そりゃ面白いからに決まってるでしょ?」


麻衣子が晴南に言った。


「あーもうなんか疲れる。」


すると慎吾が晴南のいる所にやって来た。


そしてみんなに説明した。


「こん投光器は準備する時に使うたんや。外は真っ暗やけんな。そしたら晴南が言うたんや。せっかくやけん着火までかがり火ばライトアップしようって。」


晴南が麻衣子に言った。


「そうそう。せっかくだから、ライトアップしてみようと思った訳よ。もちろんかがり火台に着火したら投光器は消すつもりよ。」


麻衣子が晴南に言った。


「ああ、そういう事ね。」


晴南がみんなに言った。


「それじゃあはやく並んでちょうだい。着火したらすぐに盆踊りを始めるわよ。」


晴南に促されてかがり火台を取り囲むようにみんなが並んだ。


そして晴南がガスライターを片手にかがり火台に点火していった。


三つのかがり火を灯し終わると晴南が投光機の照明を消していった。


三つかがり火がゆらゆらと揺れながらその灯火を大きくしていった。


広場にある明かりは三つのかがり火だけとなった。


すると晴南が二実に言った。


「二実さん、音楽お願いします。」


二実はかがり火台が置かれた場所から少し離れた所に屋外スピーカーを準備していた。


二実がスピーカーの所にやって来ると、横に置いていたスマホを操作した。


二実が大きな声で言った。


「オッケー、じゃ流すね!!」


するとスピーカーから九木礼踊りの音楽が流れ始めた。


その音楽に合わせてみんなが踊り始めた。


スピーカーから大音量で九木礼踊りの音楽が流れてくる。


「ツルハシ握り穴ほって穴ほってヨイショヨイショ!!」


音楽がスピーカーから流れてくる。


その音楽に合わせてかがり火を囲みながらみんなが踊った。


「宝石のせて上げろや上げろやヨイショヨイショ!!!町に戻ってお日さま眩しヨイショヨイショ!!」


スピーカーから流れた音楽に合わせてみんなが踊っていた。


すると麻衣子が大きな声で晴南に言った。


「ねえ晴南?これキャンプファイアーって言うより、何か変な儀式をしてるようにしか見えないんだけど??」


晃太が晴南に言った。


「一体これは何の儀式なんだ?」


晴南が二人に大きな声で言った。


「もう!細かい事は気にしないの!!楽しもうとしなきゃダメよ!!」


九木礼音頭を踊り終えるとすぐに別の曲をかけて踊り始めた。


そのままどんどん踊ってゆき、ヘトヘトになるまで踊り倒すのだった。


かがり火に水をかけて消火をした後で、全員が第二社務所の食堂へと戻ってきた。


晴南達が食堂へと戻った時には午後9時になろうとしていた。


晴南が大きな声でみんなに言った。


「それじゃあ次は枕投げをするわ!!」


美咲が晴南に言った。


「ちょっと待ってよ晴南。もうヘトヘトなんだけど?」


晴南が美咲に言った。


「もうだらしがないわね。」


美咲が晴南に言った。


「体力がありあまってる晴南と一緒にしないでよ。」


晴南が美咲に言った。


「分かったわ、じゃあしばらく休憩にしましょ?その後で枕投げをするわ、それならいいでしょ?」


美咲が晴南に言った。


「うん、それならいいわ。」


すると晃太が心配そうに晴南に尋ねた。


「なあ晴南?そうなると一体何時頃に終わるんだ?」


晴南が晃太に言った。


「さあ?今日中には終わらないかもね。」


晃太が晴南に言った。


「だったらもう帰っていいか?」


優斗が晴南に言った。


「実は僕もそろそろ帰りたいんだけど?」


すると晴南が晃太と優斗に言った。


「晃太。優斗。何言ってるの?まだ枕投げをしてないのよ?帰っていい訳ないでしょ?」


晃太が晴南に言った。


「だって何時に終わるか分かんないんだろ?」


すると二実が晃太と優斗に尋ねた。


「だったら晃太君達も泊まってく?部屋は空いてるから大歓迎よ?家の人には私から連絡しとくから。」


優斗が二実に言った。


「でも僕達がいたら女子会の邪魔になっちゃいませんか?」


晴南が優斗に言った。


「そんなの気にしないから!!つべこべ言わずに泊まってきなさい!!」


二実が優斗に言った。


「うん、私も全然気にしないから大丈夫よ。」


二実が晃太と優斗に尋ねた。


「あっ!でも着替えとか持ってきてないか?」


晃太が二実に言った。


「いえ、着替えは持ってきてます。」


晴南が晃太に尋ねた。


「何よ?ちゃんと準備してきてるじゃない?」


晃太が晴南に言った。


「いつも晴南に振り回されてるからな?着替えぐらい準備しとくようにもなるさ。」


優斗が晴南に言った。


「晴南はいつもわが道を行くもんね。」


晴南が誇らしげに晃太と優斗に言った。


「そうでしょう、そうでしょう?もっと誉めていいわよ?」


晃太はため息をついた。


「はあー。」


二実が晃太と優斗に尋ねた。


「それじゃあ優斗君、晃太君?今日はここに泊まっていくって事でいい?」


優斗が二実に言った。


「そうですね。お願いします。」


晃太が二実に言った。


「俺もお願いします。」


その後で二実は拓也と慎吾と長孝にも同じ事を尋ねて、男子全員が第二社務所に泊まっていく事になった。


二実がみんなに言った。


「じゃあみんな、家の方には後で電話しとくね?」


晃太が二実に言った。


「お願いします。」


二実が晃太達に言った。


「それじゃあ10号室と11号室に案内するわ。ついてきて。」


二実は男子達を連れて二階へと上がっていった。


二実は二階の廊下の端までやってくるとみんなに言った。


「ここが10号室よ!でこっちが11号室よ。」


そして両部屋の鍵を晃太に渡すと二実は一階へと戻っていった。


二階の廊下で男子が話し合いを始めた。


晃太がみんなに尋ねた。


「さて、部屋割りはどうする?」


拓也が晃太に言った。


「いいよ、晃太。好きに決めてくれ?」


晃太が拓也に言った。


「なら拓也と慎吾が10号室。俺と優斗と長孝が11号室でどうだ?」


長孝が晃太に言った。


「黒宮先輩、悪いんすけど松浦先輩と同じ部屋がいいっす。」


晃太が長孝に尋ねた。


「別に構わないが、なぜだ?」


長孝が晃太に言った。


「体を鍛えたいからっす。先輩方の筋トレにつきあいたいんっす。」


晃太がみんなに言った。


「なるほど。なら拓也と慎吾と長孝が10号室。俺と優斗が11号室だ。」


全員がそれに納得して、晃太が拓也に10号室の鍵を渡した。


拓也が10号室の鍵を開けると拓也と慎吾と長孝が10号室の中へと入っていった。


晃太も11号室の鍵を開けて優斗と一緒に部屋の中に入っていった。

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