第三ヒント
第三ヒントの投稿も、前回から一週間後だった。
この一週間にも日常になんら変化はなかった。いや、ひとつあるとすれば、首都圏に近い関東近郊の地域でまた行方不明者が出たことくらいだろうか。
関東近郊連続失踪者事件と題されたこの話題は、九州の田舎に住む俺には遠い世界の遠い話だった。
なぜこの事件が『連続事件』なのかと言うと、行方不明者に共通点があるから、だそうだ。詳しくは知らない。今はニュースよりこのブログと炊飯器の方が重要だ。
第三ヒントは『最近、趣味活動を行った』という旨のものだった。
「へぇ」
中身にヒントがないだろうかと、俺は小説を読み進めた。
そこには趣味活動を行ったことによる気分の高揚や爽快感、達成感等が純文学風に書かれていた。しかし内容については触れられていない。内容に触れないままここまでの気分の盛り上がりを書けるわけがないと、俺は三回くらい小説を読み返した。しかしヒント以上のことは何もわからなかった。
「クソッ、無駄に文章が上手い」
俺は半分ヤケになりながら『ジムでの筋トレ』と秘匿コメントを送信した。運動のあとはご飯が美味しいし、ジムなんて滅多に行く場所ではないし、筋トレをする人間は自らを鼓舞するためときに自己陶酔的だ(これは俺の個人的な偏見だが)。
しかし、ブログ主からの返信はまたもなかった。俺は次の週の更新を待つ。
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