2番目の村娘は竜の生贄(嫁)にされる

黒月白華

第1話 何でも2番の村娘

 私はグレンダ村の村娘ジュリエット。ピンクゴルードのフワフワの腰までの髪に円な銀の瞳を持つ村で2番目に可愛いくて村で2番目に足が速くて村で2番目に賢くて2番目に料理上手、裁縫上手と言う…何でも2番目の女の子だ。


 因みに1番は全部村長の娘のポーリーナがかっさらっていく。ポーリーナは亜麻色のストレートの髪の毛で蒼い瞳だ。私とポーリーナは仲が悪い。


 好きな男の子が出来た時も…


「ごめん…ジュリエットも可愛いけどやっぱり俺…ポーリーナを裏切れない!俺…ポーリーナ親衛隊に入ってるんだ!!」

 とか言う理由で断られた。

 因みに私にも一応親衛隊らしき奴等はいた。

 しかし冴えないメンバーで予備軍と言う名に相応しい。デブ、チビ、痩せのトリオだった。


 ポーリーナの親衛隊はイケメンが多かった。

 何だあの逆ハーレム状態!羨ま…しくねーわ!!


「くっそううううう!ポーリーナめええええ!どうしてくれようかああああ!!」

 と私は歯軋りする。

 親衛隊のメンバーのデブのバイロンが


「ジュリエット…ポーリーナには敵わないんだな」

 とおやつをモグモグ食べる。


「まぁポーリーナは本当に綺麗と言うか儚いというか守ってあげたくなる男心をくすぐられるというか」

 チビのジェイコブも言う。


「ポーリーナに昨日飴貰った。凄い優しい」

 と痩せのブルーノまで言う!

 くそ!あの女!うちの親衛隊にも色目を!!


「あんた達私の親衛隊じゃなかったの??」

 と半目になるが家の手伝いがあると焦り皆散っていく。


「何よ、結局ポーリーナじゃないの」

 私が不貞腐れて家に帰ると父さんと母さんと弟が豪華な食事を出して待っていた。


「わぁ!誕生日でもないのにどうしたの!?私の好きなものばかりじゃない!!やった!!」

 と私は嬉しがったが何か様子がおかしい。


「そうそう!いっぱい食べて姉さん!僕のもあげる!」


「え?」


「ほらジュリエットたくさん…たくさん食べるんだよ!お前の好きなチキンライスハンバーグ大盛り都会のエッセンス風だよ!!」

 と母さんが涙ぐんだ。


「おいよせ!もう決まったことだ」

 と父さんが慰める。弟のクリフも


「姉さんが生贄になれば…お金たくさん入るし…」

 と言う物騒な言葉が聞こえた。


「ちょ!?何なの?生贄?な、何?」

 12歳になるクリフは言った。


「何って…。この村を守護してくれる竜の一族のこと知ってるでしょ?この村はそれで生き残って来たんだ。それは何故か。…50年に一度、村の1番美しい娘を竜の生贄に捧げるからさ」


 は?


「いや、知ってるわよ。昔からの言い伝えじゃない。この村の人なら皆知ってるけど。え?50年目なの?今年?」

 皆黙ってうなづく。


「や、でも、この村で1番美しいのはポーリーナじゃないの!皆知ってるでしょ?」


「ああ…しかしポーリーナはね、男爵家のお嫁に娶られることが決まっていてね?竜の生贄は2番目に可愛いお前と言うことに話が纏まったんだ。もちろんお金をたくさん支援してもらうことになって…」


「む、娘を金で売ったの!?可愛い家族を!!?そ、それに!1番じゃない私のことが竜にバレたらうちの村なんか火の海よっ!?」


「いや、お前さえ黙って食われれば大丈夫!」

 うんうんと皆はうなづく。


「はあああああああああ!?」

 私はもはや白目だ。なんてことだ。

 2番目であったが為に竜の餌に選定された。


「だから今夜は最後の晩餐よ?さ、たっぷり食べて思い残すことなく天国へとお逝き」

 と母は涙目で料理を進めた。


 いやふざけんな!私はこないだ18になったばかりなのに!!はあああああ!?


 しかし村長の決定事項は変わらなかった。領主様も私に最期の贈り物をよこした。王都で貴族が着る様なドレスだ。村娘が着れるような代物ではない。


「わー…これがドレスかあ…領主様ありがとうございますー」


 クレッグ伯爵は


「いいんだよ?この領地の民が生贄となり竜が恩恵をもたらし土地は害悪な魔物から守られて土地は実りが尽きずで利益がバンバンバンだし」

 要するに作物が育ち儲かってるのね。私が生贄になることで。


 明日の朝はこれを着て竜の迎えを待つのだそうだ。ポーリーナが見つかるとヤバいので彼女は今日挨拶に来た。


 別にこっちは会いたくもないけど。


「ジュリエットwこれでお別れね?この村の為に命をかけてくれてありがとう!必ず村は繁栄するわ!貴方の尊いその命でwぶふっ!…今まであまり仲良くなかったけど最期に貴方の我がまま一つだけ聞いてあげるわよ?」

 とポーリーナが私の部屋で2人になった時そう言ったので私は


「ああ、そう?何でも聞いてくれるのね?まぁ私は竜の血肉となってもうあんたとも会えないし丁度いいわね。……んじゃ殴らせろや」


「は?」

 とポーリーナは青くなる。

 何だこいつ?何でもするっつったろ?


「積年の恨みを込めた重い一発を決めてやるっつってんのよ!」


「な!野蛮よ!!まさか私を殴るなんてすぐバレるわよ?」


「安心しなさいよ?顔はやめといてあげる。ボディだ!!」

 と髪の毛を引っ張り逃げ出そうとするポーリーナを捕まえる。


「ぎゃあ!痛い!辞めなさい!この野蛮人!!」


「うるさい!何が男爵家の嫁だよ!!あんたこれから幸せに生きるんだしいいじゃないの!!」

 と硬く拳を握り私は渾身の一発をポーリーナの腹にかました。


 ズドン!!


 と音がしてポーリーナは白目で倒れた。

 何の音かと村長達が扉の外で声をかけたが


「ポーリーナーが今日は寂しくて泊まってくれるからって!!」

 と言うと村長達は納得して帰りやがった。

 ポーリーナを床に転がしたまま私はベッドに入り眠った。死ぬんだしもういいか!!

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