第10話 びっくり仰天

  俺は、朝目が覚めると、体内に漂う魔力の動きの変化に驚いた。それは、昨日よりも自分の魔力が、はっきり感じ取れた。また、昨日よりもほんの少しだけ、操作しやすかった。そこで早速、ステータスを確認してみる。


(ステータス)


[名前]フィデリオ

[年齢]5歳

[種族]妖精種 クォーターノムルス

[強度]3/100

[力量]生力33魔力23筋力13速力20知力10器力10

[職業]

「・魔法士 1/20(1/10)」(一覧)

[技能]

・土魔法1/10(0/10)・水魔法1/10(0/10)

・筋力向上Ⅰ 2/10(20/30)・魅了耐性Ⅰ 1/10(0/10)

・暗算1/10(0/5)・魔力感知Ⅰ 3/10(0/40)

・魔力操作1/10(50/1000)

[称号]イシュリナの祝福を受けし者、誘惑に打ち勝つ者


「(おお〜! めっちゃ技能上がっている! 魔力感知は上がりやすいのかな? 昨日の今日で技能レベルが2つも上がった……それに比べて、魔力操作は、手に入れたけど経験値が今までで1番高いなぁ……こりゃ……長期戦だなぁ)」


 俺は、自身のステータスに表示されている技能レベルが上昇して、努力が報われている喜びを感じた。そして、同時に、長期間努力し続けなくちゃいけない事に気が滅入った。


「(早速、技能の説明を確認しよう……ん? よく見ると土魔法と水魔法が習得可能になっている……。漸く魔法使いっぽくなってきたな〜。それと、今日から世話になる爺ちゃんと婆ちゃんどんな人かな? 優しい人だといいな〜)」


 俺は、今日一日の事を考えながら、技能の説明を確認した。


 魔力感知Ⅰ 3/10(0/40):ナドの感知が出来る。強度上昇時に知力を2つ上昇。最大で5つ上昇させる。


 魔力操作1/10(50/1000):魔力が操作できる。技能レベルが6になると魔力操作から魔力制御に進化する。強度上昇時に知力を10つ上昇。技能レベル5で最大50上昇。魔力制御進化後は強度上昇時に知力を25上昇に変化。合計最大で175上昇。


「……はっ? えっ? なにこれ? 桁が違くね? 技能が進化するとここまで違うの? 何で、魔力操作だけが、こんなに違うのかな? 


 やっぱり基礎は、全ての基本なワケだから、技能上昇の難易度が高いのかなぁ。それに……魔力操作以外にも、似た技能があるのかなぁ。少し怖いけど楽しみだなぁ」


 俺は、あまりの内容に一時思考が停止した。そして、心の声がダダ漏れになるが、独り言をブツブツと呟く内に落ち着きを取り戻した。


 顔には、知らずに冷や汗をかいていた為か、昨日よりも暑い気温に涼しさを感じた。しかし、直ぐに汗を拭い朝食を食べに両親の元に向かった。


「おはよう。父ちゃん、母ちゃん。今日の朝飯って何あんの?」


「おはよう、リオ。ひでー顔しているがどうしたんだ? 緊張して眠れなかったのか? 大丈夫か? 爺ちゃんも婆ちゃんも基本優しい人柄だから怖くねーぞ」


「おはよう、リオ。あらまあ……そんな顔して大丈夫? やっぱり……不安?」


 両親は、俺が祖父母に預けられるのが、不安な為か顔色が悪いと思いとても心配していた。


「えっ? いや……俺ってそんな顔色悪いの? 別に不安は無いし、昨日はよく眠れたよ。むしろ爺ちゃんと婆ちゃんがどんな人か楽しみなくらいだよ」


 俺が両親に不安や緊張がない事を伝えると、両親な不思議そうな顔で首を傾げて再度俺に問いかけた。


「じゃぁ、何でそんなに顔色が悪いんだ? ハッ! 病気か! 具合は大丈夫かリオ! 何かあるか!」


 父は、俺の死んだ兄を思い出したのか声を上げて椅子から立ち上がる。そして、俺に近寄りあたふたしながら、俺の体調不良を疑う。


「いやいや!? 病気じゃ無いよ! むしろ、すこぶる元気だよー! 昨日さ、母ちゃんと魔法の修練をしたのは知っているでしょ?」


「お、おう。それで?」


「それで、起きた時にステータスを確認したら魔力操作が発現していたんだよ。そんで、その上昇率を見て、さっき物凄く驚いたんだよねー。あっはっは!」


 俺は、話が大きくなり過ぎた為に顔色が悪かった理由を述べ、元気アピールをして誤魔化した。


「あっはっは……じゃ無いわ……リオ。アタシ等は、病気かと思ったよ。心配したわよ、もぅ。」


 それを聞いた母は、とても心配しその場でへたり込む。更に両親は、それでも俺の言葉を信用していないのか、体を触る。熱感が無いか、脈が正常か調べて何ともなかったと分かり落ち着きを取り戻した。


「ふぅー何も無くて良かったぜ! リオ、魔力操作の発現おめでとう! そういや確かにあれは……最初見ると驚くよなぁ……今思えば俺もガキの頃に驚いた気がする」


「リオ、おめでとう! まぁ、アタシ等魔法職には、破格の技能だからね……驚くのも無理はないよ。それじゃ、仕切り直して朝ご飯にしようね。その後、お義母さんとお義父さんの家に伺うとしようね」


「そうだなぁ……その後は、母ちゃんの冒険者の勘を取り戻しに俺達は、仕事に行ってくる。リオは大人しく……っていつも大人しいか。まぁ、迷惑にならない程度に遊んでもらえ。な?」


「うん、そうするよ。もし忙しくて遊んでもらえそうに無かったら、魔法の修練をしたり、婆ちゃん達の手伝いしたりするから、多分大丈夫だよ」


「すまんなぁ。俺たちには、この生き方が、性に合っているみたいでな。いつも、寂しい思いをさせて悪いなぁ」


 両親は、苦笑いをして俺の頭を撫でた。俺もそれを受け入れた後、朝飯を食べて祖父母の家に行く準備をした。

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