第43話 ユミーコ、芸術的な曲線を描く。
「アウト・イン・アウトォォォ!!」
マサムーシを高速で引きずるユミーコ達の魂が一つになり、ファイト一発みたいなイントネーションで絶叫する。コーナーリングの鉄則である。
「ま、が、れぇぇぇ!!」
曲がった。
しかしやはり慣性はとんでもない。どんな異宇宙でも重力は不偏であり、あらゆる物理法則の上位に君臨するものなのだ。こればかりは根性とか愛でどうにかなるものじゃないと思う。ブラックホールに落ちたら実家の本棚でしたみたいな話で済むのなら、もっと他に出来る事があるはずなのだ。
という訳で引きずられたマサムーシの身体は大きく外側に膨らみ、ガードレールをバキバキにしながら今にもユミーコたちの手から離れていってしまいそうだ。
「でも、私はこの手を離さない……絶対に!」
離した方が良い場合もあるって事を、この時のユミーコはまだ知らない。
そんなマサムーシの身体から色んなものがポロポロ、ポロポロ落ちていく。
色んなもの……色んなものだ。小銭とか思ひ出とか、ポロポロ落ちそうなものは、大抵が零れ落ちていく。
しかしそれが功を奏した。カーブ一杯に広がったポロポロ落ちたものに足を取られた丑の刻参り星人たちが悉く転倒し、カーブの外側へと飛ばされていく。そのついでに彼等が抱えていた藁人形が爆発し、爆走するユミーコたちの背後で華々しい花火となって散っていった。ウィニング・ランだ。
ユミーコ達は優勝した。
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