第42話 丑の刻参りチェイス

 ずるずるずる!ぼんぼよよん!ぐいーん。


 ユミーコたちはとっくに気絶しているマサムーシをひきずり、宿場町のメインストリートを爆走していた。マサムーシの身体が道や家屋のあちこちにぶつかり、跳ね回る度に、1UPを含む様々なSEが響く。おかげでユミーコたちのスコアは過去最高を更新していた。


「まぁー……てぇー」

 頭に蝋燭を差した白装束の一団が追って来た。

 

 片手には藁人形型の爆弾、片手には普通の五寸釘を持った青白い肌の、丑の刻参り星人たちだ。喋りはゆっくりだが足はクッソ速い。


 宇宙悪代官が追っ手として放った彼等は、思った以上の俊足で獲物を追い縋り、相手に押し付けた藁人形型の爆弾を五寸釘で起爆するという、物騒な技を使う暗殺者たちである。表現次第では普通にホラーだ。


 逃げの一手。ユミーコたちはとりあえず天ぷら宇宙船を駐めてある宿場町の外れへと向かう他なかった。宇宙船ならばその圧倒的な火力と高温であの宇宙悪代官の回転力(かいてんぢから)に対抗できる――。


「―—あああっ、前方に宇宙宿場町スクランブル交差点が!」

 先頭を走っていたオニールがうろたえた。


 大勢の宇宙人や、宇宙籠などが行き交う宿場町ステーション最大の交差点が迫っていた。このまま高速で突っ込めば大惨事は間違いない。


「そんなの知らない!行くわよこのまま!」

 ユミーコの即決っぷりにオニーツとタカマーツは「えええ~……」という表情を隠せなかった。流石にそれはこのご時世、如何なものか。まあ宇宙人は基本的にそう簡単に死んだりはしないので平気っちゃあ平気なのだが。


「いいや、見ろ!右だ!いいやそれは右すぎ!もうちょい左!そんでもって少しだけ右だ!」

 タカマーツが丁度いい具合に『宇宙船までの迂回路はこちら』の看板を発見するが、他の二人がすぐに見つけてくれないのでタカマーツが怒鳴った。 


 ようやくユミーコとオニールもその看板を見つけ、その下の迂回路を確認する。

 なるほど、確かに右前方にかなりのヘアピンカーブが設置されていた。

 

 果たして、ユミーコたちは見事なコーナーリングで曲がり切り、丑の刻参り星人たちの追撃から逃れられるのか!?

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