クリスマス特別編「ソリに轢かれたサンタクロースが異クリスマス転生」

 サンタ星人がトナカイエンジン搭載のソリ型宇宙船に轢かれ、異宇宙に転生したところから物語は始まる。


 サンタ星人はご存じサンタクロース型の宇宙人で、宇宙クリスマスになるとあらかじめ目を付けておいた子供がいる家に忍び込み、プレゼントを与えて回るという生態を持つのだが、これは善意やファンタジーではなく、一番派手にプレゼンテーションを行ったサンタのオスが、サンタのメスをモノにできるという、あくまでもサンタ星人独自の価値観に基づく求愛行動に過ぎない、子孫サンタを残すための生命の営みなのだ。

 

 なのでサンタも必死である。近年、ホームセキュリティが向上したことにより、忍び込むことが難しくなってしまったサンタ星人の数は減る一方。煙突から入らなければならないという本能と掟の所為もあって、クリスマスの朝には工場や火力発電所で多くのサンタの死体が見つかることがよく知られている。あと銭湯で。


 今年もまた多くのサンタ星人が命を落とした。必死になるあまりソリ型宇宙船を引くエンジントナカイたちにまともな食事を与えず、酷使した挙句に叛逆を起こされ、轢かれて死んだ、あるサンタ星人も、その中の一人だった。


 お鼻を真っ赤に染めたエンジントナカイたちが、倒れたサンタ星人を取り囲んで嘲笑する。

「俺達を笑いものにした報いだ。このあわてんぼうめ。何度も何度もクリスマス前にやりやがって。貴様は俺達の犠牲の上に胡坐をかいていただけ。その身を以て知れ」


「メリー・クリスマス、サンタ。これが俺達からのプレゼントだ」


 エンジントナカイは何度もサンタ星人を轢いた。

 積年の恨みを籠めた鼻を更に赤く染めて。 


 そしてサンタは何処ぞの異宇宙に転生した。その後の事は誰も知らない。

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