宇宙人がスペーストラックに衝突されて異宇宙転生 二の舞

Shiromfly

第1話「中世アンドロメダ風の戦国異宇宙」の巻

 ユミーコは、一見、ごく普通の悪役令嬢星人だ。


 悪役令嬢星は、その星に住む生命体の殆どが悪役令嬢という凄まじさで、毎朝、夜明けと共に高笑いが鳴り響き、嫉妬が渦巻く星だった。


 特に嫉妬の渦巻き方はハンパなく、あまりにも渦巻くそれは、星の殆どを覆って渦巻く嫉妬雲を形成し、年がら年中雷を伴う暴風雨が吹き荒れ、田んぼの様子を見に行った悪役令嬢米あくやくれいじょうまい農家のおじさんたちが年間平均およそ三百から五百人、行方不明になっていた。


 ユミーコの父親はそんな嫉妬の嵐のエネルギーを利用した嫉妬力発電を行い、悪役令嬢星のエネルギーを全て管理、支配する会社のCEOである。莫大な富と権力をもつ社長の令嬢であるユミーコの高慢っぷりは、基本的にわがままな悪役令嬢星人の中でもダントツで、そりゃもうあらゆる悪役令嬢星人たちから嫌われ疎まれ恐れられ。嫉妬に狂った女生徒に包丁で刺されるのも時間の問題だった。



 そんなユミーコでも、間近になった公立の悪役令嬢高校の卒業には、全身に均等に散らばっているおよそ二百五十個の心臓が、どきどきばくばくして。


 全身がもの凄い勢いでぶるっぶる震えちゃう。


 卒業記念に友達と旅行に行ったのだが、あまりにもぶるぶるしていたので、撮影してもらった写真が全て心霊写真のようになったのが心残りだった。


 

 ――そんな彼女が「中世アンドロメダ風の戦国異宇宙」に転生する事になったのは、案の定、同級の女生徒に嫉妬されて包丁で刺されたからである。

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