幕間劇

幕間劇その1

―それで、どうして君はそのようなことをしたんだ?

―はい、あいつらが耳付きの少女をいじめてたので、思わず手が出てしまいました

―それで、反省はしているのかね?

―はい、1発ですまさず、半殺しにすべきでした

―ふむ……




 校舎のカベに寄り掛かった霧島きりしま拓海たくみは、棒についたアメの包みを開けて、タバコのようになめた。

「たくっ、いいことやって停学かよ」

 拓海は学園都市立戸沢高校の学生である。

 彼女は刻人タイマーの証であるショートボブの白髪をかき上げると、自転車に乗った。

 そうして十字路まで来たとき、彼女は蒸機馬車に跳ね飛ばされてしまった。

 前転の感じで1回転して、そのまま蒸機馬車の車体に叩きつけられる。




「……ということがあったんだよ、ホントろくなことが起きねえよな」

「というか、わたしはそれだけの大事故でむち打ちですんでる方が気になるよ」

と、首に包帯を巻いた拓海に返したのはてんきょういん夏緒なつおという、拓海の友人である。彼女はいっつも図書館にいて、とても拓海とは合わなそうだが、なぜか馬が合った。

「つうものの、安静にしろとかなんとかで、ヒマでしょうがねえ。そこでだ、あることを思い出してな」

「ふうん」

「でだ」

「なんかいやな予感がするけど、何?」

 拓海は1枚の写真を取り出して言った。

「ちょっと、手伝ってほしいことがあってね」

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