第九章 脅威が迫っていた件。
090 見えなくなった証拠
「ほへー…
午後の講義が終われば、明日は休み。エリさんと
「コーウタさんっ!」
「あれ?エリさん!何かあったんですか?」
エリさんがこの研究室にやってくるのは、初めてのことだ。何か事件があったのかと
「忘れものですよー。」
エリさんが、
「あ!ごめんなさい。ありがとうございます…。」
「いいんですよ。コウタさんのかっこいい姿、いっぱい見れましたし…。」
どうやら講義をのぞかれていたらしい。それはさておき、お弁当忘れないようにしないと。せっかく作ってもらったのに、申し訳ない。
■
「では、これで午後の講義を終わります。来週から実際に
学生から
―――俺もすっごいうれしかったもんなー。
「あの…先生。」
講義室を出ようとすると、学生の1人から声をかけられた。何か質問だろうか。
「どうしました?」
「実は…
女性は今にも泣き出しそうな表情だ。ひとまず事情を
「えっと…ミホさん…でしたよね。詳しい事情を聞かせてもらっても良いですか?」
「はい…。昨日の夕方のことなんですが…。」
ミホさんの話をまとめると、事件に巻き込まれた可能性を否定できないものだった。
夕方、2人はユイさん
「しかし、誰もいなかったと…。」
「はい。ユイはとっても真面目で、絶対にその日の講義内容をまとめなおすんです。そのまとめが書きかけで
ミホさんはすぐギルドに
「とても心配だけど…。」
ギルドの捜索が始まっている以上、俺にできることはほとんどない。
「それで、先生にこれを見ていただきたいんです。ギルドの人に伝えたんですけど…とりあってもらえなくて…。」
ミホさんの手には、何の
「これは…?」
「私がユイの部屋に入ったとき、ここに文字が書かれていたんです。遠かったので、何が書いてあるかまではわからなかったんですけど…。」
しかし、白紙だ。何か書かれていたような
「もしかして…魔法で何か書かれていて…それで呼び出されたんじゃないかって…。」
なるほど。科学的に説明がつかなくても、この世界には魔法がある。
「わかりました、すぐに調べてみます。…あの、心配される気持ちは
「ありがとうございます。…わかってます。
ミホさんは頭を下げて、講義室を後にした。
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