高校生活は薔薇色で
パグだふる
第1話 変わる転機は強引に
俺は学園一の美少女である○○○○ちゃんに呼び出されていた。しかもうちの学校で最も有名な告白スポットである屋上でだ。
まさか○○○○ちゃんが俺の事が好き。そんなありえない妄想をしていたら
「幻(まぼろし)くん、私あなたの事が好き、付き合ってください‼」
そこで俺の幸せな夢は終わりを告げた。
☆☆☆
「はあ」
唐突にため息を吐いたのは誰だろうか?その答えは俺だ。バラ色の高校生活を夢見ていた時期が懐かしい。事実は小説より奇なりとは言うけど、俺の高校生活は平凡極まりないものだった。
具体的に言うと授業を受けて飯を食い、数少ない友人と昨日のアニメの話題で盛り上がって帰宅する。ああ、こうやって並べてみるとありふれた陰キャの日常という事がよくわかる。これがせめて陽キャなら彼女とデートに行ったり、友達とカラオケに行ったりするんだろうな…
そんな風に俺が考えていると突然、俺に話しかけてくる男がいた。
「また、ため息ついてんのかよ。いい加減諦めたらどうだ?」
俺にこのような事をのたまった男は何を隠そう俺の中学からの腐れ縁、友人の田中優冶である。
顔は平凡、勉強も平凡、スポーツも平凡、何をやらせても平均的な結果を叩き出す。モブの神様の寵愛を受けし、平凡を極めし者だ。そのように俺が他者紹介をしていることを察したのか優冶が話しかけてくる。
「…お前、今失礼なこと考えただろ」
この様に言われてしまえば仕方ない
「…お前、いつの間に読心術なんて習得したんだ?暇なの?友達いないの?」
俺の返しが気に入らなかったのか、優冶がヘッドロックをかましてきた。
「いたたたたっ、悪かったって、今度は面白い返しをするから許してっ」
この言葉に、何故か優冶が呆れたようにため息を吐く
「折角落ち込んでいるお前を心配して話しかけてやってるのに」
「落ち込んでる相手に諦めろっていう奴が心配してるなんてよく言えるな」
「そう言われてもな、せめて行動に移してから落ち込んでほしいもんだ」
「うぐっ」
痛いところを突かれてしまった…確かに、俺こと幻(まぼろし) 願(ねがい)は、まだこの高校にきてから何一つ行動を起こしていない。
クラスの初めでする自己紹介では、ビビッて在り来たりな事しか言わなかったし、部活動にはまだ入っていない。正直やりたいと思えるものが一つもなかった。そうして黙っていると、優冶がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「おいおい、どうした?図星付かれて黙っちまったか?」
その言葉にイラっときた俺は優冶に言い返す
「ラノベっぽい部活動がないんだよ‼あったらとっくに入ってるよ」
その言葉を発した瞬間、優冶の笑顔が別種のものに変わった。
「ラノベっぽいていうのはある程度緩くて、部員同士が仲がいい部活って事だよな」
優冶は笑顔のまま顔を近づけてくる。何だろう物凄く嫌な予感がする。
その迫力に負け、嫌な予感はしつつも俺は頷いてしまう。
すると、優冶は更に笑みを深めた。
「いや~、お前がラノベっぽい部活に入りたいって言うから、俺頑張って新しい部活作ったんだぜ?その名もボランティア部。一緒に盛り上げていこうぜ‼」
優冶はそう言って俺の肩を掴んで一人盛り上がるのだった。
この後、俺は返答を先送りしてもらった。そして、ベッドの上で優治の提案について考えていた。
(たしかにラノベっぽい部活に入りたいっていったけど、まさか優治が作ってくるなんて…ていうかボランティア部ってそんなにラノベっぽい部活か?正直断ってもいいような…うん、断ろう。正直、ボランティアってそんなにラノベっぽくないし、ヒロインの話に触れてない時点で女子生徒がいるとは思えない。完全に優治のペースに呑まれてたわ。)
次の日、優治にこの事を伝えたところ、
「えっ、まじで?三枝先生にお前も多分いい返事を返してくれるって言ってあったんだけど…。残念だ。」
この時、俺の頭では「いや、それ返事する前から言うなよ」なんて言うよりも、「えっ、あの三枝先生が顧問するの」という事で頭がいっぱいになっていた。因みに三枝先生とは我が校きっての美人教師だ。
「成程。優治、その事を先に言え。俺もボランティア部に入ろうじゃあないか‼」
「そうか、お前ならそう言ってくれると思ってたぜ。」
この時の俺はこいつが唯一無二の友人のように映っていた。因みに入部届を出したあと優治に三枝先生が既婚者である事を教えられた。
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