逃げる勇者は道具使い

錆びたがらくたさん

第1話 勇者、討伐成功

「がっはっは! 我が魔法にひれ伏せ人間ども! ダークディメンション!」


 魔王。それはいつ、いかなる世界であっても強大な敵、または巨悪の根源として現れる存在。


「やらせるか! 美鈴ミレイ、皆をこの魔法から防いでやってくれ俺は突撃する!」

「ちょっと達也タツヤ! 突撃しないでってホント話聞かないんだから! 皆! 私のそばへ早く…っよし!、魔法防御全開!」

「タツヤこと突撃勇者、突貫しまぁーす!」


 そしてその悪を討つため現れる勇者もまた魔王と同じく正義また正義の代行者として現れる存在。


「来たか勇者よ!我を討つためにようやく姿を現したかぁ!」

「魔王ミルドールよ! 今日こそこの世界に平和を取り戻すため討たせてもらうぞ!」


 両者は正義と悪、光と影、つまりは相対する存在。その為、どちらかが命尽きるまで敵対し続ける存在だろう。

 どちらも強大な力を持ちながら自分の信じる信念や野望が相対するが為に敵対する。

 勇者は剣を持ち立ち向かい、魔王は魔法を巧みに扱いそれを防ぎながらも反撃を繰り返す。それは神速の戦いであり他の何者でさえ横やりすら受け付けないだろう。



「ふっははは! この程度か勇者よ、これでは冒険者とか言う羽虫と差ほど変わらぬではないか!」

「っく、俺の力じゃここまでが限界か……」

「達也!」


 魔王は強力で勇者の攻撃を跳ねのけそして膝を付かせた。しかし勇者は倒れなかった。既に癒しの勇者が倒れている為に回復は期待出来ず、敵からの攻撃から身を守ってくれていた鋼鉄の勇者も癒しの勇者へ当たる図だった攻撃を暗い戦闘不可能。残るは突撃の勇者に魔を操る魔の勇者。異世界から召喚されし勇者達。1人1人が強力な力を持ち様々な困難や強敵達と渡り歩き、強大な魔王に挑む5の勇者達。


「だから―――後頼むわ」

「な!?」


 しかしその勇者達の中でも一際変わり者がいた。全ての柵から逃げ、戦いから逃げ、そして……因果すらも捕らわれない勇者。


「聖剣起動!」

【オーダー受諾されました、聖剣マキナ起動します】

「な!?」


 魔王は突如聞こえた声の方へと……先ほどまで座っていた玉座へと振り返る。そして目にしたのは青色の淡い光。そしてその光に魔王は驚愕する。


「あ、あり得ぬ……何故古代文明の遺産が勇者に使えるというのだ!?」


 生命は息絶え人工物は風化し塵と化し、魔法などの超常現象すら受け付けづ。過去、ある文明が多用した結果世界を滅ぼしかけた抹消の光。


「なぜってそれは……」


 そしてその光が拡散し空間に漂っていた魔力を消滅させながら一点の、一振りの直剣へと集まる。その直剣は姿形を変え機械的な部分を露出させ光を放出し続ける。


「俺が――――」


 剣は高々と上げられ――――


「――――チキンでビビりだからさ」


 ――――振り下ろされた。

光は全てを包み込みそして塵と化した。それは魔王とて例外ではなく断末魔すら上げることなく消滅してしまう。これが後に語られる光の勇者の物語の真相だ。

 しかし世界は残酷なモノ、事実は湾曲され突撃の勇者が光の勇者となり3の他の勇者と共に魔王を倒した物語へと改変される。しかし当の本人達勇者はどんなに事実が改変されようとこう口を揃えて語るだろう。光に包まれた勇者達は例外なくその剣を手にする者へと駆け寄る。


「ちょっと!私達まで巻き込むつもり―――」

「そーだよ! いくら俺達に効果がないからって巻き込むか―――」

「こえぇ~、さっきの魔王の攻撃よりこえぇ~!!いつもそれぶっぱする時は気を付けろって言ってるだろ―――」

「っは! 一瞬走馬灯が見えたきがしましたよ!――――」


 トウソウの勇者こそが信に魔王を倒した勇者であると。


「「「「―――勇也ユウヤ!」」」先輩」


「えぇーい! 一遍に俺の名前を呼ぶんじゃねぇこのチート集団が!」

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