俺の気持ち考えろよ!
@Yoakira
第1話 甘美な蝶なのか、甘く美毒な蝶なのか
「久しぶり! どしたの? そんなに慌てて来て」
全くもって悪気が無いように不思議そうに首を少し傾げてるソイツの片手を掴むと、玄関の戸に押し貼付けるようにした。
「久しぶり? どうしたの? じゃねぇよッッ!!」
「急に来て壁ドンって何?!! というか、い、痛いし!」
全く話がわからないと俺の手を剥がそうとするソイツを見て、俺は腹の底からよくわからない屁泥のような渦の感情……。
そう、きっとこれは怒りだ。
「離して! 手、離してってー…」
「俺はお前が好きなんだよッッ!!」
なんだよ…〜って……
告白したのは俺が中2に上がる少し前春休みだ。
そんな関わり無いような奴とどうやって出会ったのか、それは遡る事、美しい桜が舞う中学入学式だ。
☆☆☆☆
「ちょっと君! 貴方、誰?」
誰って俺は俺だよ。
「
突然眠そうに真新しい机に頬杖をつきながら、欠伸をしている俺に話し掛けて来たのは知らない女だった。
肩より少し下くらいのブラウンの髪に、少し癖っ毛が掛かっているが、顔立ちは鼻がすっと輪郭が綺麗な美人系だ。
目を奪われずには要られなかった。
う……わ……澄んだ瞳に、薄い唇、控えめでもなく魅力的でもないノーマルな胸元、めっちゃ俺のタイプじゃん。
「山崎 圭吾君! そこ、私の席なんだけど」
「ほへッ?」
見惚れてたのはつかの間素っ頓狂で、間抜け過ぎる声が出た。
ごめー…ん、とそう言うだけで確かに言おうとしたはずなのに。
「うっ、うるせぇよ!! この、尼ッッ!」
うおおおおおおい! お前は小学かよッッ!!
せめてもうちょっと何かあっただろきっと昨日見た尼チャンネルのせいだ、今さっき出た言葉俺のじゃ無ければいいのに初対面だぞ。しかも、悪いの俺だし。
尼呼びをされたソイツはやっぱり目が点。
「あ……ま? ってあの尼?」
「……それ以外になにがあるんだよ」
もうどうでもいいかと思い意地になり始めた時、怒るだろうと思ってた尼呼びされたソイツはー…。
「ふふっ。面白い事言うね」
ふわっと笑い心を鷲掴みされたのも一瞬、瞳は悪戯笑いに変わった。
そして俺の鼻先にちょんと甘美な蝶がとまるように指をつけると、俺の心を見透したように顔を近づけ言う。
「ちゃんと意味調べてから発言しなよ?これから宜しくね。お子ちゃま圭吾君」
こうして俺は果たして甘美な蝶なのか、甘く美毒な蝶なのかわからない
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