厄違え -高校教師♂が女子高生として一年間頑張ってみた-

嵐山之鬼子(KCA)

(序章)

 現代では廃れたが、その昔の日本には「方違かたたがえ」という風習があった。

 陰陽道的思想に基づくもので、外出や公務、あるいは戦の出陣の際に方角の吉凶を占い、もし目的地の方角が悪いと出た場合、いったん別の方向に出かけることで、目的地へ行く際、悪い方角にならないようにする──と言うものだ。


 バカバカしいと思うかもしれないが、21世紀の現在でも、占いやおみくじなどを、それなりに気にする人はいるのだから、当時としては無理もない話と言えるかもしれない。


 さて、少し話は変わるが、これまた日本古来からの考え方に「厄年やくどし」というものがある。数え年で、ある年齢に達すると、その一年間は色々悪いことが起こりやすい──といったものだ。

 諸説あるが、現在一般的には、男性は25・42・61歳、女性は19歳・33歳・37歳を「本厄」と言い、とくに注意すべき歳だとされている。


 そして、この物語の舞台となる雁屋村では、古くから、この厄年に関して、ある意味で「方違え」的な対処方法をとる風習があったのだが……。

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