第15話
「嫌な起き方……」
嫌な意味でぱっちりと目を覚ました。
なんだかよくわからないがものすごく嫌な気分だ。
寝苦しかったのだろうか、大量に汗をかいてしまっている。
ロングヘアーなのもあって大惨事だ。
「はぁ……」
折角の休日一発目がこれというのもなんだか悲しいものだ。
てか一ヶ月間休み無いのよくよく考えたらブラック企業だよな。
ストライキ起こしたろか?
まあ、借金を負ってる身でそんなことは言えないし、そもそもそこまでの重労働じゃ無い。
別にいいか。ストライキは今度別の要件の時にするとしよう。
することは確定だ。なんで?面白そうだから。
っていうか、今はふざける気力がない。
元の世界にいた時もたまにこんな日があった。
朝起きたらさいっていの気分になっている日。
あーいやだいやだ。
俺はしばらくベットの上でゴロゴロと頭を抱えながらおセンチな気分に浸っていた。
……うじうじしていても仕方がない。気分転換をしよう。
今日は町でごーとぅーざしょっぴんぐだ。
っと言っても俺はろくにこの街を歩いたことがない。
生活必需品を買いに行ったことはあるが、それくらいだ。
知識としては神様wikiのおかげで超詳細まで知っているのだが。
もうね、お店のことになると神様wikiは本当に自重という言葉を知らない。
星評価とか、レビューとか、あの管理者ども絶対に店回ってんだろ。
それに、店員同士の恋仲とか書いてあるのだ。
しかも割と昼ドラチックなのがまた面白いところ……ではなく、神様wikiの暴走を表している。
誰が店で一人しかいない男性店員を取り合おうとお互いに牽制してアピールしまくってる話なんて知りたいと言った?
……このお店後で行こう。
ところでさ、管理者さんよ。プライバシーって知ってる?
ここの店員さんたちはもはや恋心すらも晒されているのだ。
めっちゃかわいそう。
管理者さんなぁ……しかたないんだろうなぁ、きっと。
「よし」
今日も一日がんばるぞい。
ぞいぞいぞい。
俺は勢いよく上半身を起こした。
ベットの呪縛から脱することから一日は始まる。
つまり今までの思考は今日と昨日の間の影時間に取り残されている……?
やめとこ。最近じゃパレスとか欲望とかいってるし。
雰囲気はどっちも大好き。もちろん真ん中の作品も。
パジャマがわりにしている薄手のシャツを脱いだら汗を拭いて、一応外用にしている服を着る。
次に髪を梳かす。
髪を梳かすことはこっちに来てしばらくしてから毎日するようにしている。
っていうか、こっちに来た当初何もしないでいたら、髪は痛むわ枝毛はできるわ絡まるわで超苦労したからだ。
全国のロングヘアー女子に敬意を表したいとマジで思ったね。
小さい頃からこれを続けているとしたらもはやモンスターなのでは……?と疑問を覚えかねないレベル。
俺が単純にめんどくさがりってのもあるのかも知れないが。
っとそうこうしているうちに髪を梳かし終わり、外出の準備が完了した。
「ふう……」
男子の頃だったら準備にこんなに長くかからなかったのになぁと思う反面、この体と女子の準備に段々と慣れてしまっている自分がいる。
「おはよう。おじさん、ご飯お願い」
「おはよう!今日も可愛いな!」
「罪な女は辛い」
「あはは、冗談がうまいな」
冗談?冗談……まあ、こんな体だもんな。
罪な女ではないだろう。罪な少女?そんな言葉ある?
「……罪な、少女?」
「罪を作り出せるくらい色気が出てからくるんだなっ!」
はいこれセクハラでーす。
ここの店主、可愛い女の子にセクハラしましたー!
誰が魅力も色気もないすっとんとんじゃボケェ!
……え、そこまで言ってない?
何を言っているのか。
一度口から出た言葉は背びれがついて尾びれがついて、足と手が生えたのちに尾びれが尻尾に変化するモンスターレベルと考えなければ、人生やってけないのだ。
甘い言葉には要注意。これちょっと罪な女っぽくないかな?
「はい、朝ごはん。いつものな」
「ありがとう。いただきます」
ヤドカリ亭で最近毎日食べてる朝ごはんのパンとサラダを取る。
肌を気にするようになってから野菜を取るようになったからこそのサラダだ。
マヨネーズないかな。マヨネーズ欲しいな。
でも俺卵を使うことぐらいしかマヨネーズのことを知らない。
ピエトロでも可。
「ごちそうさま。美味しかった」
「たまには別のも食べてくれよ?」
「……別のあったんだ」
「それは流石に傷つくぞ!?」
もちろん冗談だ。本当はめんどくさいからおんなじのにしてるだけ。
俺はずんずんと町に進軍していった。
町よ、心して待て!
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