第9話 ランドル、実は大物だった件
結論から先に言うと。
鉱山街から
そして手には商業
中には数え切れないほどの大量の金貨が。
「説明しておくぞアズリア。まず、アイアンリザード12匹分の買取が金貨65枚だ。そしてゴールドリザードの買取が……白金貨3枚になってな」
「白金貨3枚……ってことはさ、金貨だと……」
「300枚だな。あのリザードは全部胴体部がキレイに残ってたから状態が良いと評判になってな、解体費用や鉱夫への分を差し引いてもこれだけの金額になった」
そこは納得した。
アタシも遭遇率の希少なゴールドリザードの買取価格なんて知らないから、それは本職の
それよりおかしい目の前の屋敷を指差して。
「ああ、そういえば結局言ってなかったな。
あらためて自己紹介だ、俺はランドル・アードグレイ。グレイ商会の会長とシルバニア商業
ぐ、グレイ商会っていや、このシルバニア王国だけじゃなく周辺国にも支店を出してるっていう、多分この辺じゃ一番儲けてる商会じゃないか。
しかも男爵位?商業
ちなみに
同業者が資金や物流、人材などを融通、相互に協力し合う組織を作ることで個人よりも幅広くなる。組織になったことで発生した地位や権力を用いて、同業者の権利を守るための制度のことである。
商業
「え、えっと、ら、ランドルの旦那……いや、ランドル様っ、アタシはそんなの知らなくて、無礼な発言色々として……」
「いきなりかしこまろうとしても無理が出てるぞ?それにアズリア、お前さんは俺の客人なんだから今までと同じく砕けた口調のままでいい」
「ほ、ほら、でもさ」
「今だからアズリアには言ってしまうが、あの鉱山は国から預かったモノでね。このまま採掘が止まっていたら商会だけでなく爵位持ちとしても立場が危うかったんだ」
と、ランドルは目の前で舌を出して首をはねられる仕草をしてから、こちらにウインクをして言葉を続ける。
「だからアズリアは俺の命の恩人ってことでもある。寧ろ俺のほうがお前さんに敬語を使いたいくらいだ」
「うん、色々と釈然としない部分はあるけどさ。ランドルがそれでいいって言うならそうするよ」
「でだ。話が急で悪いが、お前さんをウチの妻と子供を紹介ついでに食事に誘おうと思ったんだが。
……どうする?」
何を悩んでるのかというと。
身軽な一人旅を続けていく上で必要なこと、それは必要以上に権力者と縁を持たないことに尽きる。
権力者はその権限を維持するために少なからず武力や兵力を必要とする。腕の立つ冒険者や傭兵はそういった権力者の格好の標的、もとい勧誘の対象になりやすい。
元が自由気ままなのだから窮屈になれば契約を破棄して離れればよい、というのは甘い考えだったりする。権力者は欲深い人間である上に疑心暗鬼に陥りやすい。一度懐に入れた人間を手離して最悪自分より好条件で寝返るかもしれない、それならばいっそ……とこちらの生命を取ろうとする権力者もいる、いや実際暗殺者を差し向けられた事のあるアタシが断言する。権力者はそういう連中だらけだ。
「ちなみに場所はサラマンドラの竈門亭だ」
「わかった。是非行かせてもらう」
「………………………………おい」
だ、だって、仕方なかったんだよ!
サラマンドラの竈門亭って言えば、この王都でも一、二を争う人気の食堂で……そもそもアタシが王都に来た理由だってそこで有名な「クレイジーブルの塩釜焼きシルファレリア風」を食べるためなんだから!
クレイジーブルの肉を塩で包んで焼くだけの料理なのに、まだ有名な料理人たちが誰も真似出来ていないって噂になってるなら是が非でも食べてみたくなるというもの。
「ふふふ……ふふふふふふふふふ」
「お、おいアズリア、一応街の真ん中でその笑い方はやめておけ。道行く連中が皆お前さんを不審な目で見てるぞ……」
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