第4話:楽しみにしていたお正月

 私の家は、近所に祖母の家があるので毎年三が日は集まって朝から御節を一緒に食べていました。

 祖母の家には叔母が二人住んでいて、毎年お屠蘇を作ってくれるんです。

 私は、このお正月に呑むお屠蘇が大好物で…。

 お屠蘇っていうのはお酒なんですが、お店で売っているわけでも居酒屋で呑めるわけでもないんですよ。

 桜木家のお屠蘇はみりんが多めなのか、少し甘めで…バナナに似た感じといいますか。

 きっと、家庭によって味が違うんですよねお屠蘇って。


 今年は1月1日からお仕事だったので、元々一緒には食べられなかったんですが、出勤前に母に『祖母の認知症が悪化していて、見慣れない人が居ると嘔吐しちゃうから今年からは別々に御節食べることになった』と伝えられました。

 去年のお正月の時、祖母に名前を思い出してもらえなかったので、少し覚悟はあったんですが…。

 でも、やっぱり実際に言葉にされてしまうとショックですよね。

 多分、もう祖母は私の事を覚えていないと思うので他人なんですよね…。

 もう、一緒にご飯食べられないのかな…。


 一般的にいわれる【家庭の味】というのは、肉じゃがとかカレーだと思うんですが、私にとってはそれがお屠蘇なんですよ。

 他のお屠蘇を飲んだ事がないので、比べたことはないですが。

 いつか、時間がたっぷりとれたらお屠蘇作りに挑戦してみようかなって思います。

 都内とかでお屠蘇が呑めるお店しりませんかね…。

 もし、知っている方がいらっしゃいましたら教えていただけると助かります。

 コロナが落ち着いたら吞みに行きたいですね。

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