無題

第1話 僕

僕は普通だ。

毎日学校へ通い、決められた課題をこなし、普通の成績をとり、、、きっとこれからも普通に生きていく。

生きる上で、大きな夢や目標はない。

だって、皆が最終的に行き着く場所は”終わり”だ。

この世の生物、誰もがいつかは死を迎えて短い人生を終えていく。宗教の世界では死後の世界が存在するが、そんなのは死の先を知らない人間が自分たちを納得させ安心させる為に作り出した仮定だ。

僕はそんな不確かなものを信じることができなかった。そして、そんな不確かなものを難なく受け入れる人間が理解できなかった。

なぜ行き着く先は皆同じなのに人生に夢や希望を感じ、目標を持って生きていくのか。

だけど、きっと僕もこうして生きていく。虚像とも呼べる目標を設定して、生きていくんだろう。

僕も、他人も、生まれつき恐怖心というものが備わっているから死ぬのが怖い。人と違うのが怖い。社会から疎外されるのが怖い。

だから、そんな疑問を浮かべたって結局は恐怖に支配されて、普通の人間としていつか来る死に向かって生きていかなければならない。

だから、僕は普通だ。