16話

 夕飯を食べ終わりソファーで横になっていると縁が近寄ってきて笑顔になった。

「ゆーくん体の上に乗っていい? 失礼しますよー」

 と体の上に乗ってきた。

 まるで、き、なんでもない。

 まぁ察しの良い方は察してくれ。

 そして、縁は俺の胸に飛び込んできた。

 なんと言うか顔が近い。

 俺は恥ずかしくなりそっぽを向くと、縁は頬を膨らませた。

「こっち見てよ。と言うか私だけを見てよ」

 そう、俺の顔を掴んで向きを修正する。

 その後、顔を近づけて頬同士を擦り付け始めた。

 キス以上の急接近で心臓が破裂しそうになるが、そんな事をお構いなしに、楽しそうに擦り付けている。

 耳に違和感。

 待て。舐めれている。

「おいちょっと縁。舐めるのはちょっと」

「じゃぁ食べちゃう」

 耳たぶを甘噛みした。

 なんと言うかそうと言うか。

 うん。

 抵抗する術がない。

 実際にはあるのだがあまりしたくない。

 そんなお返しとして、頭を撫でてやる。

 お? 舌の動きが止まったぞ? これは効いているのか?

 わしゃわしゃと、頭を撫でる。

「幸せーっ」

 小声で耳元で言った。

 吐息がかかってゾクゾクするが、そんな事を知らない縁は息を荒くする。

「ギュッてしてぇー」

 と弱々しい声。

 背中に手を回し赤ん坊のように背中をトントンする。

 さすったり、撫でたりして彼女を落ち着かせる。

 手に伝わる縁の鼓動はおさまる事を知らずに、ずっと速く強くリズムを刻んでいる。

 突如として耳から口を離した縁は俺の唇を瞬時に奪い取った。

 俺の体を撫でまわし、唇さえもその領土に加えるように激しく交わす。

「お風呂入りたいんだけど」

 と、唇が離れた瞬間に言う。

 だが縁はそれを無視して接吻を繰り返す。

 と思ったが服を脱ぎ始めていた。

 声を出すことも出来ずにただ彼女の脱ぐ姿を目で見ていた。

「お風呂入ろ?」

 そう言って体から離れた。

「後、ゆーくんの体の所有権は私だから勝手に自己発電しないでね」

 この時、俺は気付いて居なかった。毎晩、睡眠薬を飲まされて深夜に好き勝手されている事を。

 それはまた別の話だが。

 全裸の縁を抱き上げて俺は風呂に向かった。

 服は洗濯機に入れ縁を浴室で下ろす。

「ゆーくん一緒に入ろ? 雇い主の背中を流すことも仕事のうちだと思うんだけどなーって扉閉めないで!」

 ゆっくり閉めたが気づかれた。

 だが、仕事と言われてしまえば仕方ない。

 仕方ない。

 日本には混浴と言う物も存在する。ならこれも正当な仕事と言えるはず。俺はロリコンじゃない! でも否定できないか。

 まぁロリコンだろうがなんて気にしない。これは仕事。

 はい。仕事。

 超えてしまいたくない一線だったが仕方ない。

 じゃぁな、俺の一線。元気でよ。

 と閉めた扉を再び開けた。

 だが、そこは秘境だった。

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