異世界はスローライフを許さないようだ

天昌寺 晶

序章 〜物語の始まり〜


―現代のとある街にて―

 俺、照井晶は50を過ぎて、人生の半分が終わってしまった。

今日も仕事を終え、絶賛帰宅中である…

『何でなんだよぉっ』

俺は秋を告げる夜風に晒されながら近くにあった電柱を声とともに殴った。

―何で俺の同期の奴や後輩共はパートナーやら見つけたり出世してるのに、何故俺だけが置いてかれるんだ⁈

―それに入社当初は仕事すら出来ず雑用ばかりで才能すらも無かった今島の奴が、当時優秀であった俺を今は奴隷かのような扱いをしてるんだ⁈

―もう、昔のように活気付いていた自分はどこに行ったのやら…。

 そんな事を考えているうちに、自分が入社当時から住まり込んでいるアパートに近づいてきた。

「こことは違うファンタジーみたいな世界でゆっくりと生活したいなぁ……」

そんな事を口にした矢先であった…。

「んなっ……⁈」

横断歩道を渡っている俺をまるで殺しに来るかのように、トラックが突っ込んできた。

―俺はこんな異世界ものでよくある交通事故

(それによくあるトラック)なんかで転生するのはごめんだっ!

 その時であった。

俺がそんな思考を巡らせている時にふいにトラックを運転している者の顔が見えた…

―あれは…今島?何故あいつが俺を殺そうと?

だが考え始めてすぐに分かった。

―あいつはいつも言っていた、「お前が部下だと俺はいつまでたっても出世できないんだよ。」と

俺に話してきた、それに今日はいつもより一段と機嫌が悪かったんだ…。

―そうか!あいつは今まで俺をこき使ってきたのは昔の出来事を恨んでいたからかっ!

俺は今までそれに気付けなかったのがとても悔しかった。

…と、そこまで思考を巡らせていると目の前には時速100kmは出ていそうなトラックが体に触れていた。

―俺の人生がこんな事で終わるのか…。

ズシャァッッッッ!

こうして、俺・照井晶は51歳の年で終わりを迎えたのであった……。

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