第26話・きみは僕だけを愛してくれるよね?
「エリカ。彼に会って何か感じた?」
「え? 彼って……? レブ……」
「違うよ」
寝台の中、頬杖をついてこちらを見る彼の甘い声音に嫉妬のようなものが見え隠れする。レブル達が来てからのウィリディスは、不機嫌な態度を露わにするようになった。レブルのことかと思えば否定された。
「堅物の方だよ」
「リーガさんがどうしたの?」
二人のうちレブルでもなくて堅物というのならリーガさんのことだろうか? どうして彼がそれを気にするのか分からない。彼とはレブル以上に接する機会もないのに。それを命じたのは他でもないウィリディスなのに。彼の心配は尽きないようだ。
「彼とはなんともないわ」
「本当に? 彼に何も感じない?」
「なに言っているの?」
ウィリディスは何か不安に駆られているようだ。まさかリーガに私が惹かれるでも? あり得ない。あの人にはあまり良い印象ももてないのにどうしてウィリディスは彼を気にするんだろう?
ヤキモチを焼くならレブルの方じゃないの? 彼は気さくで話しやすい。結構、親しく話をしているかもしれない。
ウィリディスは私の首すじに顔を埋めた。チクッとした痛みのようなものが走った。
「あ……」
「きみが魅力的すぎるからいけないんだよ。こんなにも僕を翻弄する」
「あっ、何したの?」
「きみは僕のものだって証拠を残した」
「やだ。ウィル。痕付けたの?」
キスマークなんか付けられてしまったら明日の朝、ドレスを着るときに使用人達に見られてしまう。二人は夫婦だと認知されているとしても恥ずかしすぎる。
「気にすることないよ。僕達は夫婦だよ。それ以上に恥ずかしいことしているのに?」
「そういう事は口にしないで」
「そんなに気にすることかなぁ?」
「ウィルは気にならないの?」
「全然」
「あ。そう……」
こういう問題は解決しない。平行線のままだ。分かりきっていることなので放置する。それよりも気になることがあった。どうして彼はリーガを気にするのだろう?
イライラとした彼を感じる。なにやら彼を不安にさせているようだ。
「ウィルは何を気にしているの?」
こちらを見つめるエメラルドを思わせる瞳が近づいてくる。重なった唇は柔らかい。小鳥が啄むようなキスを受けると切なげにまつげの降りた瞳が聞いてきた。
「きみは僕だけを愛してくれるよね?」
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