死ななければ良かった

だるま

第1話 死

「死にたい」

そう思ったことはないか。俺は毎日思っている。死に方も毎日考えている。だが、結局死なない。


いや、死ねないんだ。2度目の死は、ないのだから。


「死んだら楽になれる」と本当に信じて疑わない奴らこそが、本当の愚者だと俺は思う。死んだら楽になれる?


なれるわけないだろ。あるのはより深い絶望だけだ。

死んだらどうなる?


死んだときの痛みが無くなるとは限らない。永遠に自殺した場所に留まり続けるかもしれない。その時お前は本当に幸せなのか?よく考えてから死んでほしい。


俺のようにはなってはいけない。


目がないのに見える。鼻が無いのに匂いがわかる。耳がないのに聴こえる。脳がないのに意識がある、人格もある。

肉体がないのに痛みがある。死んだときの痛みが、もうずっと続いている。


自殺した部屋の中で、俺の家族が楽しそうに笑っている。もう、俺のことなど忘れて笑っている。最初は良かった。皆、俺のために泣いてくれた。


だが、最初だけだ。次第に忘れられ、皆の記憶から、徐々に徐々に消えていった。辛かった。もうおかしくなりそうだ。


これからもずっと俺は、ここで過ごすのだろう。俺は後悔しながら永遠にここで過ごすのだろう。ああ、こんなことなら、死ななければ良かった。




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死ななければ良かった だるま @sanufute

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