074 開戦
5日後、ロキ達はホットフット村に到着した。
そこには多くの冒険者達が集まっており、ホットフット村はかつてない賑わいを見せていた。
「……というわけで、この村の英雄であるロキ様には防衛の指揮を取るようにとの国王からの命令があります」
「ええええ!?」
知らない内に防衛の指揮を取ることになってしまった。
ホットフット村にはあと数日以内に聖ガルド教皇国の船団がやってくると推測されている。
「どうすればいいかな?」
「みんなで頑張ればなんとかなるよ!」
「どうするもこうするもないだろう。早急に戦争の準備をするのだ」
ロキ達はサラやロザリーさんの提案により、海岸に柵を設置したり、塹壕を掘ったりと準備をした。もちろん、冒険者や兵士にも作業の手伝いをしてもらった。
やるべき事はいくらでもあり、寝る間も惜しんで作業をし続けた。
――――
6日後、イーリアス王はイーストコースト村で敵軍を待ち構えていた。既に聖ガルド教皇国の船団が遠くに見える。
「敵の船団がすぐ近くまで来ている!戦いの時は近いぞ!気を引き締めろー!」
イーストコースト村には頑丈な砦が作られ、弓兵や魔法兵が海岸に狙いを付けている。
聖ガルド教皇国の船は大きすぎてサンゴ礁の多い海岸には接岸する事ができない。神殿騎士達は小舟を出して、海岸まで近づいてくる。
神殿騎士達は、大きな盾を構えることで弓矢や魔法を受け止めようとしている。
「撃てー!!」
ラッパの合図も響き渡り、フティア王国側から大量の矢と魔法が降り注ぐ。
聖ガルド教皇国の先頭の小舟は短時間だけ耐えたが、すぐに小舟が全壊し沈没した。
「我が軍の圧勝ですな!このままいけば、この戦争は我が国の勝利は確実かと」
戦いを見ていた大臣のウォードが国王に話しかける。
「そうだといいんだがな……」
イーリアスは全く逆の事を考えていた。簡単に倒せる相手ではない。何か罠があるに違いない。だが、その罠の正体が分からずに不気味さが増していくのであった。
敵の小舟はいくつか沈没させたが、無数の小舟が海岸に向かってきている。全ての小舟を沈没させることは不可能である。
最初に海岸にたどり着く小舟が現れた。すると、神殿騎士は海岸に降り立ち盾をドーム状に構えた。そのまま突撃するでもなく、じっと盾を構えたまま動かない。
「嫌な予感がする……」
その光景を見たイーリアスは呟いた。その直後、盾を構えていた神殿騎士達が光り輝き、中から白い巨人が現れた。ロキから報告があった、ウィリアムが行ったという天使降臨に似ている。
「あれは不味いぞ。白い巨人に集中攻撃しろ!」
イーリアスが命令を下した。だが、その命令は遅すぎた。海岸には既に複数の小舟がたどり着き光り輝いているのが見えた。
――――
ホットフット村でも同様に、ロキ達の防衛戦が始まっていた。ホットフット村の戦いでも敵の戦略は同じだった。
「白い巨人かぁ、倒すの大変だったよね」
「うむ、我のおかげで勝てたのだったな」
ロキとサラが話していると
「ロキ様、指示は出さなくて良いのですか?」
王都から派遣されたマクファーソン将軍が心配そうに尋ねる。何故ならロキの指示は「待機せよ」のみだったからだ。
「いいよ」
「そうですか……」
敵軍は既におよそ10000人が海岸に整列し、複数の白い巨人も確認出来る。将軍はこんな若造に指揮を任せる事に不満があった。王の命令だから従っているに過ぎない。
「そろそろかな?じゃあ、行ってくるよ。合図をしたら攻撃してね」
「ふぁっ?」
将軍は思わず変な声を出してしまった。
「了解です」
「腕がなるね!」
「怪我は全て治しますから〜安心して怪我してくださいね〜」
「あたいのファイアーハンマーが火を吹くぜ」
ロキヘイムのメンバーがロキに続いて砦を出ていく。将軍は呆然とそれを眺めることしか出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます