073 戦争
聖ガルド教皇国との戦争が始まる……?
「え……」
「聖ガルド教皇国はロキを差し出せと言ってきたんだ。アンデッドを処刑するという名目でな」
「僕はアンデッドじゃありません!」
「そんなことは勿論分かっている。拒否した結果、宣戦布告してきたってわけさ」
「そんなの無茶苦茶ですよ」
「そうだな。しかし、相手は巨大国家だ。人口はこちらの10倍以上はある。勝てると見込んで宣戦布告してきたのだろう」
聖ガルド教皇国は神の名のもとに優秀な騎士を各地から集め、強大な戦力を保有している。
「しかし、このフティア王国も一騎当千の冒険者が集まる国だ。戦力的には負けていないさ」
イーリアス師匠は不敵な笑みを見せた。
「ロキ、師匠としてお前が戦争に参加するのは反対だ。だが、国王としては手伝ってほしいとも思っている。戦争に参加するかどうかは自分で選べ」
「分かりました」
その日、フティア王国の各街に聖ガルド教皇国から宣戦布告された事、兵を招集する事について連絡がされた。
ロキはロキヘイムのメンバーと相談し、戦争に参加する事に決定した。そして、戦争が始まるまで各自で修行を続ける事にした。
1週間後、王都の城には大勢の国民、冒険者が集まった。王の宣言を聞く為だ。勿論ロキ達も城に来ている。
「国民よ、短い時間でよく集まってくれた。王として感謝する。フティア王国の歴史上最大の危機が迫っている。聖ガルド教皇国との戦争だ」
王の話を聞いていた国民にどよめきが起こる。風の噂には聞いたことがあっても、信じたくない者が多かったのだろう。
「聖ガルド教皇国は当時15歳だった少年をアンデッドと呼び、国外追放したのだ。そしてその少年はフティア王国に流れ着いた。少年は成長し、今や立派な冒険者となった」
ロキは自分の過去を思い出し、少し落ち込んだが王の話を聞く為に顔を上げた。
「しかし、聖ガルド教皇国は処刑の為に少年を、冒険者を引き渡せと言う。冒険者で成り立っているこの国でそのような事が許されるだろうか。断じて許してはならない!」
「そうだそうだ!」
「冒険者を馬鹿にしてやがる!」
集まった冒険者達が声を上げる。
「この王国の、冒険者の未来を守る為、全ての戦える者達を招集し、東の海岸にて聖ガルド教皇国を迎え討つ!そして、必ず勝利する事を約束する!」
「「うおおおおおお!!」」
王の演説が終わり、戦争に参加する者達の受付が始まった。ロキ達も受付を済ませて、師匠のところに向かった。
「師匠!演説お疲れさまでした」
「シショー!見てたよ!」
「ああ、お前達か。戦争には参加するのか?」
「はい、みんなで相談して決めました」
「そうか……国王として感謝する。敵軍は東の海岸の北と南に分かれて進軍してくるようだ。ちょうどイーストコースト村とホットフット村の辺りだな」
イーストコースト村も、ホットフット村も見知った人達が住んでいる。
「僕達も戦います!どこに行けばいいですか?」
「では、ホットフット村を任せる。絶対に守り抜いてくれ」
「分かりました!」
「ホットフット村を守り抜いた暁には、お前達には褒美を考えなければならないな……よし、ロキには俺に挑戦する権利をやろう」
「えー!それのどこが褒美なんですか!?」
「俺に挑戦出来る権利を持つのはオリハルコン級冒険者第2位だけなんだぞ!?」
「へぇ〜じゃあ、それでいいですよ」
「なんか投げやりだな。嬢ちゃん達には戦いが終わったら希望を聞くことにしよう」
「やったー!何を貰おうかな〜?」
「私は〜専用のお風呂かしら〜」
「新しいハンマーかな!」
「ワタシの褒美は不要です」
各々が何を貰おうか考えていて羨ましいロキであった。
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