053 仁王立ち
敵の門の前ではロキのみが仁王立ちしている。
「こいつがやったのか!?」
「1人で乗り込んできて頭がどうかしてるんじゃないのか!?」
「てめぇら、このガキをさっさと片付けろ!」
後から来た少し強そうな冒険者が指示を出した。と同時に下っ端らしき冒険者達が襲いかかってきた。
人間と戦うときはどうしても師匠の動きと比べてしまう。師匠と比較した結果、相手はミジンコ以下、銅級冒険者レベルだと思われる。
スキルを使うまでもない。僕は相手の剣を最小限の動きで躱し、相手の顎を殴って脳を揺らす。師匠から何度もやられた技だ。
相手の冒険者は糸の切れた人形のように倒れ込んだ。それを5回繰り返した。
「な、何なんだおめぇは!素手で殺したってのか!?」
「いや、気絶してるだけだよ。殺したら失格になっちゃうじゃん。それより、助けを呼んだほうがいいんじゃない?」
「く、クソっ!誰かもっと人を呼んでこい!そうだ、ワディムさんを呼べ!ワディムさんなら倒せるだろ」
「呼んできます!」
ロキは仁王立ちのまま動かない。
「待っててくれるのか」
「……」
ロキは何も答えずに待ち続ける。少しすると50名ほどの冒険者達に囲まれることになった。
「おい!こんなガキに負けた馬鹿はどこのどいつだ!?」
「勘弁して下さいよ、ワディムさん」
先頭の一番強そうな冒険者が冗談まじりに言うと、周りを囲む冒険者もヘラヘラと笑う。
「勝てると思うなら来てみたらいいよ」
ロキは片手を上げてクイクイっと挑発する。ワディムと呼ばれた男は半笑いだった表情が怒りの表情へと変わった。
「魔法部隊!このガキに魔法を撃ち込め!」
「ワディムさん!死んじまいますよ!」
「バレなきゃいいんだよ、やれ!」
周りを囲っていた連中が杖をこちらに向けて魔法を発動する。
「さすがにこれは避けられないね。【
スキルを使って全ての魔法を受け切る。周りの冒険者達はまだ立っているロキを見て驚いている。
「ば、馬鹿な!」
「次はこっちの番だよ。【
左手をクンッと上げると、その方向に立っていた冒険者の地面が爆発し、吹き飛ぶ。次の冒険者にも同じように【
何度か放つとワディム以外は吹き飛び、気絶したようだ。
「なんだこのスキルは!?ユニークスキルか!」
「そうだよ。もっと強い人を呼んだほうがいいんじゃない?」
それを聞いたワディムは笛を取り出して鳴らした。
ピィーーーーーーー!!
それは救援の合図だったようだ。拠点の中からどんどん冒険者が出てくる。まるで拠点に居た全冒険者が集合したかのような光景だ。
しかし、今度はロキも黙って見てはいない。くるっと後ろを向くと全力で逃げ始める。
呆気にとられた冒険者達は一瞬ポカーンとしたが、すぐに敵が逃げたことを理解した。
「逃げたぞ!追えーーー!絶対に逃がすんじゃねぇぞ!」
ロキと冒険者達は森の奥に走って行った。
その後、アルエとシャル、ロザリーはもぬけの殻になった拠点で★を奪い去り、計画は成功したのだった。
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