046 ロキとシャルの冒険1
僕とシャルは拠点から出て右手に進むことにした。島の東方面だ。崖に沿って進んで行く。
しばらく進むとシャルが声を上げる。
「あ!あそこに洞窟があるよ!」
崖に横穴が開いているのが見えた。
「本当だ。僕達と同じように拠点を作ったのかな?それとも自然に出来た洞窟かな?」
「ねぇ、入ってみようよ!」
「いいけど慎重にね」
洞窟をそっと覗いてみる。入口付近には誰も居ない様だ。なんの変哲もない洞窟だ。
「洞窟は奥まで続いているみたいだね」
洞窟に入り進んでいくと少し広い空間に出た。そして、その真ん中にはロックゴーレムが仁王立ちしていた。
ロックゴーレムの頭には★が描かれた羊皮紙が貼られている。
「ゴーレムだ!」
シャルが思わず大きな声を出してしまう。ロックゴーレムの目が赤く光り、戦闘態勢になってしまった。
「……ごめん」
「問題ないよ。★も見つかったし」
ロックゴーレムはドスドスと重い足音をたてながらこちらに突進してくる。
「やっぱりカッコイイな〜。一家に一台ゴーレムが欲しい!あ、そうだ!あれを試してみよう」
「何を試すの?」
「ちょっと見てて、【死んだふり】!」
ロックゴーレムにスキルを使用してみた。生き物には効かないけど、ゴーレムは生き物か怪しかったので試してみたのだ。
「……」
ロックゴーレムは動かなくなった。
「やったー!★ゲット!」
ロックゴーレムの頭に貼り付いていた★を手に入れた。
「もしかして、ロックゴーレムも手に入らないかな?」
収納胃袋の口を広げてロックゴーレムに被せると、ゴーレムは中に収納された。
「ロックゴーレムが手に入っちゃった……」
「……よーし!この調子で次の★を見つけよー!」
「おー!」
洞窟を出て、更に東に進んでいくと綺麗な川が流れていた。
「川があるよ!飲める水かな?」
「一応、収納胃袋に水は沢山入ってるよ」
「でも、綺麗な水だよ?魚が捕れるかも!」
シャルは川に向かって走っていく。
「シャルー!もっと慎重に。って速いよ!」
シャルを追いかけて川辺に着くと、そこには……
「お前ら、どこの組のモンじゃい!?」
総勢20名の男達が休憩をしていたようだ。水浴びをしていたようで、体には凄い入れ墨が彫ってある。顔に大きな傷のあるハンマーを担いだ男やナイフを舌舐めずりしている男も居る。
「ぼ、僕達はただの通りすがりのゴーレムハンターなので、すぐに立ち去りますねー。ゴーレムどこかなー?」
架空のゴーレムハンターを装って立ち去ろうとする。
「待てや!いてこましたれ!」
「「うおおおおお!!」」
迫りくる男達。
「恐っ!シャル、風魔法!」
「了解!ウィンドカッター乱れ打ち!」
シャルのウィンドカッターが男たちを迎え撃つ。
「この程度の魔法、このハンマーで!ぐあああああ!」
「ナイフ使いは回避が得意なんぎゃあああああ!」
無数のウィンドカッターで手足の腱を切られて転がる男達。
「ナイス!シャル!」
僕は倒れている男から★の羊皮紙を奪うと最後に釘を刺しておくことにした。
「もし、取り返そうなんて考えたら……もっと酷いことになるからね?」
「「わ、分かりましたー!」」
突然の遭遇だったけど、★を手に入れることが出来て良かった。
「シャル、これからどっちの方角に行ってみたい?」
「じゃあ、川を下ってみようよ!」
「オッケー」
川に沿ってそのまま川を下っていくことに決定した。
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