042 スキル強化
ある日、特訓中に師匠から質問を受けた。
「ロキ、お前のスキルなんだが、自分以外にはかけられないのか?」
「え?」
考えたこともなかった為、聞き返すことしか出来なかった。
改めて思い出すと、【死んだふり】を自分以外にかけたことはない。だが、死んだふりをしているランプや遺跡などを起こした事はあった。
「自分以外にはかけたことはありませんが、死んだふり状態のアイテムや家を目覚めさせたことはあります」
「じゃあ、その剣に【死んだふり】をかけることが出来るかやってみろ」
「はい!」
訓練用ショートソードをじっと見つめながら【死んだふり】を発動する。
パタリ。ロキは【死んだふり】状態となってしまった。
「失敗したようだな」
イーリアス師匠はロキが起きるのを待つ。30秒後、ロキは目覚めた。
「あ、失敗したみたいですね。30秒にしておいて良かった。もう一度試してみます」
次は、ショートソードを自分の身体の一部と考えながら部分的に【死んだふり】をかけてみる。
「【死んだふり】……あ、出来た!」
ショートソードは、錆びてボロボロになった。30秒経過すると元の綺麗な状態に戻った。
「これは凄いな。戦いにどう活かせるかは分からないが、工夫次第ではスキルの幅が広がるかもしれんぞ」
「たしかに、そうかもしれません」
「よし、ロキは物に対してスキルをかけられるように特訓だ!」
「はい!」
この日からスキルの特訓が始まった。
1ヶ月後、いつも通り特訓を終えて一息ついていると師匠が近づいてきた。
「ロキ、スキルの特訓はいい感じに進んだんじゃないか?」
「はい、少しは使いこなせるようになりました」
「じゃあ、俺と少し手合わせしてみようか。俺について来い」
師匠についていくと城の外の空き地に来た。
「俺はこの武器を使う」
師匠の手には、誰もが知る聖剣が握られている。
「……聖剣エクスカリバー」
「そうだ。こいつは最高の剣なんだが、切れ味が良すぎるのが難点だな」
「そんな武器で斬られたら死んじゃいますよ!」
「お前のスキルなら大丈夫だ。ただし、タイミングを間違えたら死ぬぞ」
「えええ!」
「お前も剣を構えろ!始めるぞ!」
師匠とロキの模擬戦が始まった。
ロキは収納胃袋から聖剣クレイヴ・ソリッシュを取り出し、構える。
「行くぞ!」
師匠が物凄い速度で踏み込んでくる。せっかくだから新技を試してみよう。地面に手を当てる。
「【
地面が死ぬと何になるのか、答えは砂漠だった。砂漠に師匠が突っ込んでくる。
「こんなことまで出来るようになったか! だが、この程度では止まらんぞ!」
「【
ロキが左腕をクンッと上げると、師匠の足元が爆発し、砂が舞い上がる。
「うお!ペッペッ!」
「今だ!」
ロキが砂まみれの師匠に斬りかかろうとする。
「【
「【
師匠の光の波は近くにあった石を容易く切り裂いた。防御が間に合って良かった。
「よーし、ここまでだ」
「ありがとうございましたぁ」
ロキは集中しすぎてヘロヘロだった。
「このくらいの技量があるならばクラン対抗戦でも良いところまでいけるだろう。今日はもう帰ってゆっくり休め。クラン対抗戦は1ヶ月後だぞ」
師匠のお許しが出たので、帰宅してゆっくりすることにした。
「あと1ヶ月か……」
1ヶ月は長いようで短い。もっと強くならなければ、間違いなく潰されると師匠には言われている。
「もっともっと強くなろう。そしてクランの全員を守り抜いてみせる!」
決意を固めたロキは帰宅してからもスキル強化に明け暮れるのだった。
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