022 オークダンジョン1
アルエが仲間になった後、遺跡の外に出て再び南東に向かって歩いた。
アルエに色々と質問してみたが、話が難しすぎて理解できなかった。唯一分かったのは、スキルが【液体金属】というスキル名だということだけだった。
「【液体金属】ってどんなスキルなのかな?気になるね〜」
シャルは興味があるようだ。
「ロキ、そろそろオークダンジョンが見えてくる頃じゃないか?」
サラが教えてくれる。よく見ると遠く前方に集落らしき柵と塔が建っている。
「あった!あの塔がそうだよね?オークはどれくらい強いのかなー?」
「オークはエルフの里にも居たよ!」
「マスター、オーク殲滅の許可をください」
「アルエの発言って物騒すぎない?まぁ、許可するけど」
「許可を確認。戦闘モードに移行します……戦闘開始」
アルエが物凄い速さでオークの塔に走って行った。
「速っ!!」
「ロキ、シャルよ。追ったほうがいい。このままではオークを狩り尽くされてしまうぞ!」
ハッと気づいたロキとシャルは急いで追いかけるのだった。
オークの集落にたどり着く頃には既に戦闘は終了していた。血の海に立ち尽くすアルエの腕は剣の刀身のような形になっている。
「アルエの腕が刀身のようになっているね。あれがスキルの力なのかな?」
「そうかもしれぬ。オークの遺体を見る限り、アルエの腕前は達人級のようだな」
サラが冷静に分析している。
「マスター、命令を完遂しました」
「ありがとう、アルエ」
お礼を言うとアルエはほとんど無表情だが、なんとなく嬉しそうだ。
「ロキ!アルエちゃん!こっちに塔の入り口があるよ!」
シャルはもう先に進みたいようだ。討伐証明部位と魔石を切り取り、先に進むことにする。
オークダンジョンに入ると、中は何故か草原だった。外から見た塔の大きさを遥かに越える草原が広がっている。天気も晴れていて気持ちの良い風も吹いている。なんだこの癒やしの空間は?心身ともに疲れた時はこの場所に来ても良いかもしれない。そんな場所である。
「わぁ〜!すっごい良い場所だね!」
シャルは喜んでいる。
「マスター、オークを殲滅する許可を「待機で!」……承知しました」
アルエは少し悲しげだが仕方がない。オークダンジョンの攻略はロキとシャルの修行でもあるのだ。
「よし、今回は僕とシャルで討伐しよう」
草原にはオークが5〜10匹ずつ群れを作っている。オークは筋肉質の体つきをしており、身長は2メートルほどだ。木製の鎧と鉄製の剣を装備している。
群れにロキが突撃する。そこでオーク達の注目を集めて、攻撃を一身に受ける。その間に、シャルが弓矢で攻撃する戦法だ。シャルの弓矢の腕前は一流な為、一瞬で勝負はついた。
「楽勝だね!」
「(たまに矢が僕にも当たってるけど)この調子で1階層はガンガン進んでいこう」
1階層はガンガン進み、合計25匹のオークを倒した。全てのオークを倒すと草原の真ん中に魔法陣が生まれ、乗ると2階層に移動した。
2階層は森だった。ジメッとした湿気の多い森である。そして少し薄暗い雰囲気もある。
「1階層とは全然違うねー」
「マスター、今度こそオーク殲滅「ダメ」……うぅ、はい」
アルエはオークを殲滅したい病にかかっているのだろうか。
「木が邪魔で見通しが悪いね。オークの位置が分かるといいんだけど」
「気配なら我が分かるぞ」
「マスター、ワタシにお任せください!」
「じゃあ、アルエにお願いしようかな?サラは休んでていいよ」
「ふむ。では、案内役はアルエに譲るとしよう」
「マスター、あちらの方角に5匹の魔物が居ます」
アルエの指差す方角に進むと、たしかに見たことがない種類のオークが5匹いる。剣を持つオークと杖を持つオークである。
「すみません、マスター。魔物の種類までは答えられません」
「では、我が説明しよう。あれはオークソルジャーとオークシャーマンだな。オークソルジャーが物理攻撃。オークシャーマンが魔法攻撃を得意としている」
「2人ともありがとう。じゃあ、さっきの作戦で行こう!」
「うん!」
ロキが敵の群れに突っ込み敵の攻撃を受け、シャルが1匹ずつ仕留めた。
オークシャーマンのファイアボールが飛んでくるが、タイミングを合わせて【死んだふり】をすることで防御可能だった。
そんな調子で次々とオークソルジャーとオークシャーマンの群れを潰していった。
「次が最後の群れかな?」
「マスター、気配が残っているのは1箇所だけです」
「ありがとう。最後は3人での連携を試してみよう」
「了解しました」
「分かったよ!」
いつも通りロキが最初に群れに突っ込む。ロキの後ろをアルエがついて行き、敵の背後から挟み撃ちにする。シャルはいつも通り狙撃を行う。
「ブオオオオオオ!」
オークシャーマンが大きく叫ぶとファイアボールが放たれる。
ロキはとっさに【死んだふり】をしようとするがファイアボールの向かう先が自分ではないことに気づく。
「アルエ!危ない!」
アルエにファイアボールが直撃する。大きな爆発が起こり、土煙で見えなくなる。
「アルエ!大丈夫!?」
安否確認の為、呼びかける。
「はい、マスター。問題ありません」
アルエの片腕が盾の形状になっている。ファイアボールを受けても無傷だったようだ。
「アルエちゃん凄すぎ!」
シャルも驚く強さだった。その後は危なげなく全てのオークを倒した。
2階層の中心に行ってみると転送の魔法陣が出来ていたので全員で乗る。3階層はどんな場所になるのやら。
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