020 ロックゴーレム

 翌朝、シャルが目を覚ますとロキは外で朝食を作っていた。川で獲ってきた魚の塩焼きと山菜のスープである。


「おはよう、ロキ。良い匂いだね」


「おはよう、シャル。もう少しで出来上がるよ」


 朝食を美味しくいただいた後に、装備の点検をして出発した。南東に進むと森を抜けて丘があり、丘を越えると荒野が現れる。ゴーレムが出るという荒野だ。


「ゴーレム〜♪ゴーレム〜♪」


 シャル作詞作曲のゴーレムの歌がエンドレスで流れている。


「シャルよ。歌を止めよ。そろそろゴーレムが出てくるぞ」


 サラに言われてシャルが黙る。辺りを見回すと岩と土しか無いように見える。


 だが、よく見るとグラグラと動く岩が2つあった。動く岩は周りの石や岩を吸い寄せてゴーレムになっていく。


 ゴチン!


 ゴーレムは両の拳を打ち合わせて音を鳴らした。最終的に3メートルほどのゴーレムになった。かなりの迫力がある。


「かっこいいなぁ〜」


「それはそうだけど、このロックゴーレム倒せるの!?」


 迫力のロックゴーレムを見てシャルは不安になったようだ。


「勿体ないけど倒そう」


 ロキはロックゴーレムの背後に回る。


「【死拳デス・ストライク】!」


 両膝の裏を叩くとゴーレムは盛大に転んだ。転んだ衝撃で体の大部分が崩れたようだ。胴体の中心にあるコアが剥き出しになったので、それを【死拳デス・ストライク】で叩くとゴーレムは動かなくなった。


「あ〜ぁ、壊れちゃった」


「ロキよ、そんなに残念がらずとも周囲には大量に居るのだ。気にせず全て倒せ」


「気が進まないけど倒すよ」


 ゴーレムが出てくる度に倒しながら進んでいった。


 1時間ほど荒野を歩いたところでロキが何かに気づいた。


「あの岩が何も無い空白地帯から何かを感じる……」


「我には何も感知出来ないが?」


「あたしも何の気配も感じないけど……」


「多分、僕のスキルのせいだよ。死んだふりをしている気配がするんだ」


 岩のない平な地面が円状になっている。その真ん中に立つと地面が固いことに気づいた。剣の鞘で突くとコンコンと音がする。砂を払うと、金属製の扉が現れた。


「これって扉……だよね?」


「我にもそのように見えるが、普通扉は横向きに設置するものだろう」


「地下に降りる為の扉?開けちゃおうよ!」


 シャルは好奇心の塊なので、開ける一択である。


「仕方がない。開けるしかなかろう」


 ロキは2人の許可が出たので扉を開けようとするが開かない。この扉に復活しろと念じてみる。すると直後、扉は自動的に開いた。


「何かの遺跡かな?入ってみよう」

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