43歳の私が年下俳優と!?

パオ太郎

第一章

第1話 年明け、ぐーたら

ビール何本目だろう。6本目だ。昼の2時から飲んでいる。正月だからと久々に24缶1ケースをネット注文したんだった。しかもずっとノンアルビールでアルコール断ちしていたのに。何もかもが嫌になってずっと飲んでいる。

新型ウイルスの影響で、都内住みの私は帰省も自粛して1人、部屋に籠っている。別にビールくらいいいじゃないか。都内に友人もいないし。元々親戚の集まりも苦手だから、新型のウイルスで帰省出来なくなったのは体の良い言い訳になった。

テレビもつまらない。駅伝が好きだから駅伝を流しながらネットサーフィン。


現在無職。無職期間3年中。会社の激務でストレスが重なり、うつ病になってしまったのが原因。そこからなかなか這い上がれず、今に至る。もう終わってるな。

12月が誕生日の私は43歳になった。高校時代の親友からは12月生まれは羨ましいと言われる。親友は5月生まれだから、嫌だそうだ。でも、この歳になれば43も44歳も同じようなもんだ。


北陸の雪国地方都市から東京に上京して早17年。別に大学進学ではない。就職でどうしても職種が東京にしかない職種だったから25歳という遅めの上京だった。すぐに挫折し、そのまま東京で派遣をしながら暮らしている。大学進学の上京ではなかったから、学生時代の友人とやらもいない。仕事も性格上コロコロ変わるので友人は出来ない。と言うより都会の人間のドライさに驚いた。地方ではもっと人間関係が近い。それを嫌がる人もいるが、東京はあまりにもドライ過ぎた。


頑張って飲み屋やバーに通って飲み友達作りなんかもしたが、今は黒歴史。連絡先から全て消した。あの時の私は私じゃない。無理して繕ったパーティーピーポーってやつだ。ただただ痛々しい。


今日3日ぶりの歯磨きをした。流石に歯がざらついて気持ち悪くなり、仕方なく。顔も洗ってみた。お風呂?そんなもの入る訳がない。シャワーすら浴びていない。最早干物女と言うより人間を捨てている。だって誰にも会う予定がないし。


することは沢山あるのに、何も手に付かず、結局ベッドに入ってずっと横になっている。流石にぐーたらし過ぎだと思い、テレビドラマの見逃し配信を見る。しかし最近のドラマは本当につまらない。CSで欧米の海外ドラマばかり見ている。でもやはり日本のドラマが見たいんだ。そんな私が生まれて初めてがっつりハマってしまったドラマがあった。深夜ドラマだった。小さい頃からテレビっ子の私は一応毎回新作ドラマの初回は全部観るという徹底ぶりだ。


ただ単に脚本が面白く、出演者も無名の俳優ばかりで、脇役などの俳優、老若男女問わず詳しい私が知らない俳優が主演しているドラマだった。

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