僕の飼い主は、、、
金光蛍
第1話 DAY 0-1
11月のある寒い日の夜。
僕は捨てられた。
「誰か拾ってください」
そう書かれた段ボールに詰められて、封をされた。
封をされた段ボールの中は暗くて、何がどうなっいたのやらさっぱり分からなかったが、ガタガタと伝わってくる振動で、どこかに運ばれているのだと分かった。
しばらくして、箱が開けられた。
「ごめんね。」
そうやって、前の飼い主は立ち去って行った。
あたりを見回すとそこは、知らないところで。
「ああ、捨てられたのか。」
と理解する。
これからどうしようかと考える。
申し訳程度に貼られた、段ボールの底のホッカイロでは今夜以降寒さはしのげそうにないし、無造作に一緒に入れられた餌も、じきに底をつくだろう。
そんなことを考えているうちに、どんどん寒くなっていく。
そうやって寒くて震えていたところにやってきたのがその人だった。
「あら、あんたも捨てられちゃったの?」
少しでも寒くないようにと丸まっているとそう声がかかった。
「にゃあ(助けてくれよ。)」
「あらら、そりゃかわいそうに。寒そうだね。家来るかい?」
「にゃん(いいのか?)」
「よし、分かった。家においで。」
僕の言葉が分かってるのか分かってないのか、彼女はそう言って段ボールをひょいと持ち上げた。
暗いからよく見えなかったけど、こうやって近くでみると、結構美人なお姉さんだった。
僕はちょっとだけラッキーと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。