第1434話 夏祭り2日目。頑張れ、今日は1度に複数人。
花火大会は大盛り上がりで閉幕した。
時間は30分ほどで、次々と打ち上がる花火にみんな心打たれていた様子。
始まるまではわいわいきゃっきゃしていたのに、始まって少し時間が経てばもうみんな花火に夢中で、言葉を交わすことなく鑑賞していたよ。
そんな中ハンナやシエラに密かに手を握られていた俺。
ラナとリーナからは死角だったのでおそらくバレてはいない。
知っているのはセレスタンくらいだろう。
結局ハンナもシエラも花火大会が終わるまで離してはくれなかったのだった。
そんでもって花火が終わりパッと静かに手を離した瞬間、ラナが振り返る。
あぶねぇ。
「すっごく楽しかったわ! 綺麗だったわねゼフィルス!」
「お、おう。そうだな」
「ゼフィルスさん? なにかぎこちない感じがしますが、どうかされましたか?」
「どうもされませんので安心してくれ」
リーナが鋭い!
あれ? 俺花火大会よりもハンナとシエラの手に意識持ってかれてない?
いや、花火大会も楽しかった。だからセーフ(?)だ。(混乱)
「なんか怪しいわね」
「はい。ハンナさん、シエラさん。お隣なのにゼフィルスさんと会話しませんの?」
「へ? も、もちろんだよ! でも今は花火の余韻に浸りたいみたいな。そんな感じかな!」
「ハンナの言うことは的を射ているわね。素晴らしい花火だったわ」
ハンナとシエラが誤魔化しに走っている気がする? いや、きっと気のせいだろう。
「ふーん」
「それは分かりますわ。花火大会はとても良いものでした。是非毎年やってほしいですわね」
「これからはそうなるかもな」
ラナはまだ納得していなかったが、リーナの言葉に乗っかる形でこの話からなんとか避けようと試みる。しかし。
そんな話をしているうちに横からタバサ先生とアイギスがやって来たのだ。
「なんの話をしていたの?」
「私たちも入れてください」
おっと話が巻き戻る予感! さらにシエラの言葉で事態はさらに危険な方向へと突き進む。
「花火が綺麗だったわね、という話よ。それよりもタバサ先生。先程の話を詳しく聞かせてもらえないかしら?」
「あ、そうよタバサ先生! ゼフィルスに名前で呼んでもらってたの!?」
「ええ、デート中ずっと、ね。でもゼフィルスさんったら終わった途端先生呼びに戻っちゃったのよ? もう、ずっと呼び捨てで良いって言ったのに」
「なー!」
いかん! 『直感』さんが警報を鳴らしている!
プンプンしたラナ、他の女子たちの視線が俺に突き刺さる。
脱出! いや、いつの間にか囲まれてる!? 助けてセレスタン!
しかしセレスタンは来なかった。
「……まあいいでしょう。私たちも少なからず楽しんだのだもの。お互い、目くじらを立てることはルールに抵触するわ」
なんのルールだろう? しかしシエラが諫めたのは分かった。だって『直感』さんの反応が弱くなったもん。まだ油断はできないが。
「もう遅いし一旦帰りましょう?」
「あらハンナ、それはいいわね。続きは帰ってから、ということね!」
「へ?」
「いいですわね、では場所は」
「それなら私の部屋を提供するわ」
「今日はお泊まりね。なんだか学生の時に戻った気分でワクワクするわ~」
「ではお泊まりセットを取りに行きたいです」
おっとなんだか話が別方向に進んでいる予感。
どうやら女子はこのままお泊まり会でシエラの部屋へいく模様だ。
タバサ先生がとてもはしゃいでいらっしゃって可愛い。
「な、なら俺も帰るぜ。さすがに疲れた」
「あ~、ゼフィルス君は朝からずっとだったもんね」
「……明日もあるのだから確かに休んだ方が良いかもね」
「おう、悪いな。それじゃあ、今日は先に休ませてもらうぜ」
疲労を理由にして離脱を図る。
まあ、疲れているのは本当だし、シエラの部屋へのお泊まりならここで解散だろう。問題は無いはずだ。
「それなら私たちが送るよ!」
「は、はい! 狼さんからゼフィルスさんを守ります!」
そこにノエルとラクリッテ登場。否、他のメンバーもいつの間にか集まってる。
え? 俺って狼に襲われると思われてるの?
いや、朝の福女子寮の様子を見るに、あながち大げさとは言い切れない?
「明日ゼフィルス君が来られなくなったら大変だもんね!」
「うん! ゆっくり休養してもらわないと!」
「夜の護衛は私たちで固めるよ」
サチ、エミ、ユウカの言葉で疑問も氷解した。
つまりこれ以上俺に無理をさせないための護衛というわけだ。
なるほど~。完全に男女逆転している。
「それなら安心ね。みんなでゼフィルスを寮に届けましょう」
「はい!」
そんな訳で花火が終わって凄まじい人混みの中、なぜか俺が女性陣に護衛される形で貴族舎へと戻ったのだった。
今日はハンナから始まって、シエラ、リーナ、ラナ、アイギス、タバサ先生、そして花火大会とぶっ続けだった。
すげぇ楽しかったが、気疲れも多少はある。
しかも明日はもっとスケジュールがキツキツで、なんと1時間交代で1度に複数人とお祭りを楽しむ予定だ。
ちゃんとみんなを楽しませられるかな? いや、やってみせよう!
そんなことを思いながら、今日は早めに眠るのだった。
翌日、爽やかな朝に目が冴える。
今日も食べ歩きツアーを予定しているのでハンナのモーニングは無しだ。
あれから女子はシエラの部屋で大お泊まり会が開催されたらしいが、みんな大丈夫かな?
そんなことを考えつつ今日の準備を整える。
夏祭り2日目。というか最終日。
今日は花火大会は無し。というわけで最終21時までぶっ続けでお祭りを楽しむ。
昨日は1対1のデートだったが、今日は複数人と待ち合わせだ。
最初は――ノエルとラクリッテからだ。
「お待たせ~ゼフィルス君!」
「お、おまたせしました!」
「いや全然待ってないさ」
10時前から待ち合わせ。
ノエルとラクリッテの浴衣は、昨日と同じものだった。
学園には装備をさほど時間も掛からずクリーンできる設備があるのが便利。
しかし、昨日は夜だったが、やはり日中に見ると印象が変わるな。
ノエルは青と白が縦線模様になっている浴衣で、大きな桃色の薔薇が描かれていた。髪はアップされていて良い感じ。青系の簪がとても良いと思ったよ。
ラクリッテはオレンジ系をベースに濃い茶色で花の絵がいくつも描かれている浴衣だった。髪型は変わらずだが、なんだか活発な印象を受けた。
うん、2人とも可愛いね。
「2人とも日中に見るとまた違った印象を受けるな。可愛いぞ」
「ありがとう~♪」
「あ、ありがとうございます!」
再び軽く褒めた後、俺は気になっていたことを聞いてみる。
「昨日はあの後みんなで女子会したんだろ? 大丈夫だったか?」
「うん! 盛り上がったよね~」
「えっと、まあ、はいです!」
「ラクリッテの歯切れが悪いが!?」
「気のせいだよ~」
「き、気のせいです!」
「なんだ気のせいか~、はっはっは!」
いったい何があったのか、聞かない方がよろしそうである。
と話していれば2日目のお祭り開始。
久しぶりにノエルとラクリッテと共にはしゃいでしまったよ。
1時間すればチェンジ、次はルル、エリサ、フィナ、アリス、キキョウ、シェリアのターン。
ちなみにアリスは黄色に小さい花模様で、キキョウは黒色に白の大きな花模様の浴衣だった。シェリアは黄緑色に草の葉と蔓が描かれている。
一気に6人! ロリレンジャーが揃ってらぁ。
「ゼフィルス様。スクショをください」
「そこは貸してくださいって言ってほしいんだが?」
「この夏祭りの期間だけでいいんです……貸してください」
「……ダメ」
貸してもどのみちダメである。
真顔のシェリアとなんか攻防がありはしたが、なんとかスクショを死守し、俺はカメラマンとしてロリレンジャーに同行したのだった。
あれ? これ保護者目線じゃね? いや、いっぱい良いスクショが撮れたので良いのだ! シェリアがとてもゴゴゴゴゴという擬音が発しそうな目をしながら俺を見つめていたが、なんとかスクショは守り切ったよ。後で写真はあげるから許してほしい。
それからも1時間交替でたくさんのメンバーズと一緒に回った。
記念にスクショもいっぱい撮ったよ。
なお、女子ばかりで男子は1人もスケジュールに入っていないのはなぜだろう?
そりゃこのスケジュール決めたとき男子入ってなかったもんね。完結。
男子とはバッティングすることもなかったよ。不思議だね。
でも素晴らしい女子の浴衣姿がたくさん見ることが出来たので俺は満足です。
みんなにも楽しんでもらえたと思うよ。
こうして夏祭りは終わり、夏休み最終日がやって来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます