第1417話 時は来た。新メンバーを今こそ攻略させる時!
無事〈聖ダン〉攻略完了!
今回の最奥ボスは結構コツがいる。言葉だけじゃなかなか伝わらなかったので、俺も全員の攻略者の証集めにほぼ全参加してしまった。
少し、本気を出してしまったぜ。
おかげで一抜けで俺のLVも45だ。
だが他のメンバーたちもコツは掴めたようで、俺抜きでも周回ができるようになったな。
「ドロップが凄いわね。なにこの〈神が与えたもう聖なる雫〉って。見た目は小瓶に入った水にしか見えないんだけど」
「名前の押しが強いですね。この水をかけたら姉さまなんて浄化されてしまうのではないですか?」
「え?」
エリサとフィナからそんなやり取りが聞こえてきた。
うむ。〈ハンドエル〉の素材は凄いだろう。見た目はともかく。
これは〈神〉カテゴリーと言われる素材群だ。
上級中位ダンジョンから登場する強力な素材で、〈神〉カテゴリーのみで作りあげた武器は〈宝剣〉とか〈神剣〉なんて呼ばれる、最強クラスの装備になる。
とはいえ今回ドロップした素材ではまだ武器作製は無理。レシピも含めて上級上位ダンジョンからドロップだからな。
しかし、初回にゲットした〈神装剣士シリーズ〉を作製するには必要だ。
これらはサチたちの装備作製のためにアルルとマリー先輩の下に送らせてもらおう。またマリー先輩の度肝を抜くのが、とても楽しみだ。
なんとかマリー先輩と1対1にならなければ。(使命感)
さて、周回も俺が居なくても安定してきたし、そろそろ俺は別のところに行くとしようか。
「上級中位ダンジョンもあとは周回が得意なメンバーに任せれば良いとして、俺は新メンバーの育成の方に行こうと思う」
「そうね。私も付いていきたいけれど……」
「シエラは貴重なタンクだから難しいな」
「じゃあ私は!?」
「ラナはヒーラーだからもっと無理じゃね?」
と言ってシエラとラナの参加を断る。
レギュラーメンバーって結構アタッカー比率が多くって、純粋なタンクやヒーラーが少ないのだ。
特にタバサ先生とトモヨの抜けがデカいな。
俺1人くらいなら問題無いが、防御の要であるシエラや、回復の要(?)であるラナが抜けてしまうと周回に支障が出てしまうだろう。
今は全体のレベルを上げるためにエリアボス周回と並行しているので、シエラとラナには残ってもらい、俺は単身、新メンバーたちの方へ向かうことになった。
「ノーアとゼフィルスが一緒になるのよね。クラリス、大丈夫かしら……」
そんなセリフをシエラが呟いていたが、俺の耳には入ってこなかったのだった。
「お待ちしておりましたわゼフィルス様!」
「……今日からよろしくお願いします」
「おう、こっちこそ今日からお邪魔させてもらうな」
「邪魔なんてことないよ~?」
「はい。ゼフィルス先輩のおかげで凄く強くなれましたから」
新メンバーの方へ合流すると、ノーアが凄まじい笑顔で歓迎してくれた。
逆にクラリスは凄く緊張している。どうしたのだろう?
アリスとキキョウの歓迎も嬉しい。キキョウも練習ギルドバトルで【嫉妬】の強さを体感し、〈ミーティア〉VS〈百鬼夜行〉戦を見てから積極的に強くなろうとしていて、今まで以上に努力するようになった。盾自体は未だにシエラに習っているが、俺にも師事して封印の活用法をいろいろ聞き出している。
おかげでメキメキ実力を伸ばしているぞ。
「新メンバー諸君、待たせたな。今日からしばらく上級下位ダンジョンの攻略を一緒にする! よろしくな!」
「「「「「よろしくお願いいたします!」」」」」
レベルがほどよく育ったため、今日から攻略の方に集中する。
新メンバーはトモヨも含めて13人。そこへ俺が入り、アルテの〈イブキ〉、アルテ号で高速攻略していくという心算だ。
ちなみに〈岩ダン〉の周回に協力してくれたサティナは今回また出張中である。
「最初は手堅く〈山ダン〉から攻略するぞ! 続いて〈島ダン〉、〈夜ダン〉の順に攻略だ。その後はランク7以上を1つ攻略してもらい、上級中位ダンジョンの入ダン条件を満たしてもらおうと思う!」
すでに全員〈嵐ダン〉の〈クジャ〉は終わっているからな。残りは4つだ。
「なんかすごいことを平然と軽く言ってるよ!?」
「1年生にはハードを通り越してベリーハードモードですの!?」
はっはっは! カグヤとサーシャのツッコミが心地良い。
まあ、確かにちょっと急ぎ気味だが、夏休みの時間も少ないので頑張ってもらいたいところ!
なお、新メンバー組はすでに〈岩ダン〉でレベル上げをしていたのでLV自体もかなり育ち、もうすぐ30に届くというメンバーもいる。大丈夫だろう。
「ゼフィルス様」
「お、どうしたノーア?」
「ランク2の〈霧ダン〉や、ランク6の〈岩ダン〉が攻略の予定に入っていないのは、なぜでしょう? 人気のダンジョンだとお聞きしましたわ」
「冷静!? ノーアさん凄く冷静すぎるんじゃないかな!?」
うむうむ。クイナダのツッコミも絶好調だ。素晴らしい。
おっと、ノーアの疑問に答えないとな。
「確かに〈霧ダン〉や〈岩ダン〉は人気のダンジョンだ。なにしろ、攻略しやすいというデカいメリットがあるからな。理由は知ってるか?」
「はい! ゼフィルス様が攻略法を見つけ、学園に伝授したからだとか!」
「その通りだ。具体的に言えば、道中の行程を進みやすくして最奥まで到達させやすくしたんだよ」
おお~。ノーアのキラキラした尊敬の視線が心地良い。
ふっふっふ、過去の俺ナイスだ! 後輩の尊敬の視線はなにより気持ちいい!
ノーアの回答は30点くらいだったが、俺は花丸をあげた!(大甘)
「というわけで、今〈霧ダン〉と〈岩ダン〉はかなり混雑しているんだ。最奥ボスなんて、挑戦者のパーティだけで20以上もいて、毎日のように挑戦しているらしいぜ。最奥ではボスへの挑戦の順番待ちで、かなり混雑していると聞く」
「お嬢様。20パーティということは列を作っていると思われます。1パーティ15分で全滅すると仮定しても順番が回ってくるまでに5時間掛かる計算です」
「時間掛かりすぎですわ!」
なぜ全滅が前提?
いや、とりあえず時間が掛かるということを知ってもらえればいいか。
「ということで〈霧ダン〉と〈岩ダン〉に行くくらいなら他のダンジョンに行ったほうが有意義な時間が過ごせる、という寸法だな」
「さすがゼフィルス様ですわ!」
ノーアのヨイショが気持ちいい!
この若干大げさに持ち上げてくる感じ、大好きです。
それからいくつもの質問に答えつつ、出発する。まずは〈山ダン〉からだな。
おっとそうだ。
「そういえば救済アイテムの〈山を越えるトラン・プリン〉は持ってるか?」
上級下位ダンジョンには救済アイテムがある。そして〈山ダン〉はプリン型のトランポリンだ。これが無いと……まあアルテ号とパンダ号があれば問題は無いが、一応確認だな。
するとスッと1人の手が挙がる。
「私が預かっております」
「シュミネか」
「うちのお母さんに預けておけば問題無いっす!」
「うん。問題無い」
「完全に遊園地に来た親子じゃないか」
どういう基準で選ばれたのか聞こうとしたら、ある意味納得しかない答えが返ってきた件。
お母さんに預ける。ある意味で凄く安心だな!
「誰がお母さんですか。――それにゼフィルス様?」
「げふんげふん。なんでも無いぞ。――そうだヴァン、ちょっと実験なんだが、崖のところに城を建てて橋を架けて渡れるかちょっと実験をだな」
「――なるほど、そんな手が。やってみるであります!」
「……ごめんヴァン冗談だ」
「冗談!?」
うっかりうっかり。シュミネがお母さん気質すぎてたまに本当にナキキとミジュのお母さんに間違えてしまう。
俺はヴァンに冗談を言いながらシュミネの追求を逃れた。
ヴァンがなんか本気にしかけるハプニングもあったが、準備は整ったな。
「それじゃ、行くか。確かみんなは38層の入り口まで行ってるんだよな?」
「ですわ。レギュラーの皆様が時々助けてくださるので、かなり進めていられますの」
「よし、早速38層に転移しよう!」
「「「「おおー!」」」」
ノーアたちだけならまだまだ掛かっただろう攻略も、レギュラーメンバーが暇を見てコツコツ教えてダンジョンに連れて行っていたため、38層まで進んでいたようだ。
新メンバー組が取り出したのは、〈転移水晶〉。
前に
俺が使うのは〈テレポート水晶〉。通称〈テレポ〉。
好きな階層へ転移できるアイテムだ。
名前がそっくりなのはご愛嬌。
ノーアたち10人2パーティが〈転移水晶〉を起動し、俺たち4人1パーティが〈テレポート水晶〉を起動する
「「〈転移水晶〉――起動!」」
「〈テレポート水晶〉――起動、38階層入り口へ!」
瞬間、俺たちは転移した。
目映い光のあと、見覚えのある場所が目の前に広がる。
よし、成功だ。周りを見渡せば少し離れた位置にノーアたちを発見したので合流。
「本当にゼフィルス様も転移できるんですのね」
「便利だろ? パーティを変更すると〈転移水晶〉は役立たずになってしまうが、〈テレポート水晶〉なら一度行ったことのある場所限定ではあるがこういう時に使えて便利なんだ」
以前〈謎ダン〉の〈マジスロ〉&〈アール〉戦の〈金箱〉産でゲットした〈テレポート水晶〉は良い感じに役立っている。ただ、
「アルテ、頼む」
「了解です~。〈イブキ〉――召・喚!!」
「お~」
アルテもそれやるんだ。アルテが〈
うむ。心の中でツッコミを入れてしまったんだぜ。
16人まで乗車できる〈イブキ〉があれば、ミジュの〈パンダ号〉は出さなくても大丈夫。
全員乗り込んだところで出発だ。
「じゃ、出発進行だ!」
「おおー!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます